2019 Fiscal Year Research-status Report
細胞内膜の膜電位イメージング法の確立とその生理機能の解明
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18K06873
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大河内 善史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90435818)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膜電位 / 内膜 / イオンチャネル / 蛍光タンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内膜の膜電位を知るために、引き続きマクロファージ系培養細胞RAW264.7を用いて実験を行った。前年度には、膜電位感受性蛍光タンパクMerm2を用いて、RAW細胞のファゴソームの膜電位が細胞膜電位よりも過分極側にシフトする可能性を示してきた。本年度は、ファゴソーム膜電位の過分極シフトに関わる分子を調べるために、RAW細胞のmRNAを抽出して、RNA sequenceを行った。同時に、マウス腹腔マクロファージから単離したmRNAのsequenceも行うことで、RAW細胞と腹腔マクロファージにおける個々のmRNAの発現量を比較した。その結果、RAW細胞と腹腔マクロファージでは、マクロファージのファゴソームで機能することが知られている分子のmRNAの量に違いがあることがわかった。マクロファージで機能することが知られている分子の中には、RAW細胞におけるmRNAの発現量が低いものがあることが分かった。静止膜電位形成に関与する分子や過分極に関与する分子についても発現量を調べてみると、いくつかの遺伝子について発現が高いものがあった。その中でカルシウムによって活性化されるイオンチャネルに着目して、RAW細胞での膜電位変化にカルシウムが寄与するかどうか電気生理学的手法を用いて検討した。その結果、RAW細胞の細胞膜電位は、カルシウムありでは低い膜電位を示し、カルシウムなしで高い膜電位を示すことが確認され、カルシウムが細胞膜電位に積極的に関与することが分かった。カルシウムはファゴソーム形成時に増加すること、またカルシウムによって活性化されるイオンチャネルは食胞形成時にファゴソーム膜に含まれると予想されるため、ファゴソームの膜電位形成にも関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファゴソーム膜電位を制御する可能性のある分子の候補をいくつか見出すことができたことは、今後の実験を進めるうえで重要なデータになる。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA sequenceから得られたファゴソームで機能する可能性のある分子について、以下の実験で検証していく。(1)ファゴソーム膜を精製し、質量分析装置を用いて、タンパク質を同定する。(2)質量分析の結果とRNA sequenceの結果を照らし合わせて、機能解析を行う候補分子を絞る。(3)薬剤あるいは遺伝子ノックダウン、ゲノム編集技術を用いて候補分子の機能を低下させた場合のファゴソーム膜電位を調べる。遺伝子の過剰発現による効果も見る。これらの実験によりファゴソーム膜電位を制御する分子を特定する。
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Causes of Carryover |
当初の予定通りに執行したが、結果として予定よりも多くの次年度使用額が生じてしまった。次年度も予定通り執行する予定であるが、計画的に予算の使用を進めていく。
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Research Products
(3 results)