2019 Fiscal Year Research-status Report
KATPチャネル欠損マウスにおけるアルツハイマー病中核・周辺症状の病態機能解析
Project/Area Number |
18K06887
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森口 茂樹 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (70374949)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | KATPチャネル / アルツハイマー病 / 不安様症状 / 扁桃体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、KATPチャネルのアイソフォームであるKir6.1チャネルおよびKir6.2チャネルの欠損マウスを用いてAD周辺症状の一つである不安様行動に関する行動解析を実施した。不安様行動に関する行動解析方法として、4種類(Elevated-plus matze task、Light-dark task、Open-field taskおよびMarble-burying task)について確認したところ、いずれの行動解析においてもKir6.1欠損マウスにおいて有意な不安様行動の亢進が確認された。一方、Kir6.2チャネル欠損マウスでは顕著な影響は確認されなかった。次に、不安様行動の確認と同様にKATPチャネル欠損マウスにおける恐怖記憶形成に関する行動解析を実施した。恐怖記憶形成に関する行動解析の結果、不安様行動の結果と同様にKir6.1欠損マウスにおいて恐怖記憶形成の障害が確認され、扁桃体依存的な障害であることを同定した。そこで、扁桃体におけるcFosの発現量を確認したところ、恐怖不安刺激後の1時間以降において外側扁桃体(LA)においてcFosの発現量の増加を確認した。一方、扁桃体中心核(CeA)の影響は確認されなかった。さらに、Kir6.1チャネル欠損マウスにおいて電気生理学的解析による外側扁桃体における長期増強現象(Long-term potentiation: LTP)について確認したところ、Kir6.1チャネル欠損マウスでは野生型(対称群)と比較して有意なLTPの亢進が確認された。本研究により明らかにしたKATPチャネル欠損マウスにおける恐怖不安行動の解析により、KATPチャネルのアイソフォームの一つであるKir6.1チャネルの外側扁桃体における機能異常を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトでは、不安様行動に関する論文を受理されており(Inagaki et al., Mol. Neurobiol. 2020)、現在、うつ様行動に関する解析も進行中であるため
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Strategy for Future Research Activity |
現在、KATPチャネル欠損マウスにおけるうつ様行動、攻撃性行動に関する解析を進めており、今後、詳細な細胞内情報伝達機序について解析する予定である。論文投稿に必要なデータの最終段階まで来ていることから、当初計画以上に進展していると考える。
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Causes of Carryover |
今年度はKATPチャネル欠損マウスの個体数が少なく、予想以上に生化学実験、免疫組織化学実験等の消耗品の購入が当初計画より少なく済んだことから、次年度は使用予定のKATPチャネル欠損マウスの個体数の増加を見込んでおり、生化学実験、免疫組織化学実験等の加速により試薬・消耗品の費用が必要であるため
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Research Products
(5 results)