2018 Fiscal Year Research-status Report
チロシンキナーゼ阻害薬によるオートファジー調節作用の分子基盤と薬理応用
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18K06901
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
平本 正樹 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70297828)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | チロシンキナーゼ阻害薬 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの分子標的薬として使用されるチロシンキナーゼ阻害薬TKIsには、オートファジー調節作用があることが報告されている。ゲフィチニブは上皮成長因子受容体EGFRに対するTKIsであり、オートファジー調節作用についてもEGFRを介した作用であると考えられてきた。しかし本研究者は、ゲフィチニブによるオートファジー調節が、EGFRを介した作用ではないことを明らかとし、さらに、ゲフィチニブによるオートファジー調節に関わる分子標的候補としてGAKを見出した。 そこで本研究では、「TKIsによるオートファジー調節作用に関する分子機構の解明」を第一の目的とし、平成30年度には、以下の解析を行った。1)オートファゴソーム形成の解析のため、蛍光標識LC3B安定導入細胞株を用いた経時的なアッセイを行い、GAK発現を抑制することにより、細胞あたりのオートファゴソーム数が増加することが示された。2)オートファジーに関連する既知のシグナル経路(AKT, mTOR, AMPK, ULK1など)の変化について、特異的抗体を用いたイムノブロット法により解析を行い、GAKはオートファジーフラックスに対して抑制的な作用を示すことが示唆された。3)FLAGタグ付GAKを強制発現した細胞から、抗FLAG抗体での免疫沈降によって結合タンパク質を単離し、マススペクトル解析により、複数の結合因子を同定した。4)また、以上の解析とは別に、TKIsによるオートファジー調節作用を統合的に理解するため、機能性ナノビーズを用いて新規分子標的の探索を行い、マススペクトル解析により、複数の候補因子を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オートファジー調節作用の分子標的候補GAKに関する解析が、当初の計画以上に進展しつつあったが、必要な消耗品のメーカー欠品や、血清切り替え後の確認実験の必要が生じたことから、平成30年度は結果的に、ほぼ計画通りの進捗状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
解析が進行しているGAKについて、オートファジーなどに関わる分子メカニズムの解析を進めるとともに、ゼブラフィッシュやモデルマウスでの検証も行う予定である。本研究は、オートファジーに関する学術的な発展だけでなく、TKIsの抗がん作用とオートファジー調節作用の切り分けを可能とし、神経変性疾患などに対する「オートファジー誘導療法」の確立にも結びつくと期待される。
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Causes of Carryover |
故障したPCの購入と、消耗品の追加購入のために前倒し申請を行った。PCの購入は済ませたが、予定していた消耗品がメーカー欠品となったため、年度内の購入は出来なかった。次年度、欠品している消耗品が調達され次第、購入する予定である。
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Research Products
(11 results)