2020 Fiscal Year Research-status Report
D2-受容体含有中型有棘神経細胞選択的調節によるドパミン関連疾患の病態の機序解明
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18K06902
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
森 友久 星薬科大学, 薬学部, 教授 (40366331)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬物依存 / 統合失調症 / D2-受容体含有中型有棘神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
D2-受容体作動薬/拮抗薬のげっ歯類への投与によ り、著明な鎮静を引き起こしてしまうといった行動薬理学的な特性がD2 受容体刺激以降のシグナル伝達の機序の解明を妨げてきた。こうした問題を解決すべく、 D2- 受容体作動薬である quinpirole の摂取感覚効果について検討した。その結果、ドパミン神経系を活性化する apomorphine、methamphetamine あるいは morphine等といった幻覚誘発薬も般化を示さなかった。興味深いことに、apomorphine と D1-受容体受容体拮抗である SCH23390 とを併用すると般化が認められた。また、ドパミン D1 受容体拮抗薬である SCH23390 および GABAB 受容体作動薬である baclofen が完全な般化を示した。以上の結果より、ドパミン D2 受容体ならびに D1 受容体調節は、相反する感覚あるいは脳内神経活動を引き起こし、また、GABAB 受容体刺激は、ドパミン D2 受容体刺激様の摂取感覚を再現出来ることが示された。 また、これらの効果の機序を詳細に検討するために、逆耐性現象について検討を加えた。その結果、D2-受容体含有中型有棘神経細胞を抑制するdelta-作動薬であるSNC80ならびにA2A-受容体拮抗薬であるinstradefylineとmethamphetamineによる逆耐性の形成において不完全な交差逆耐性が認められた。よって、統合失調症ならびに依存形成において、D2-受容体含有中型有棘神経細胞における神経の過疎的変化が関わっていることが示唆された。特に、SNC80は、そのもので逆耐性現象が発現しなかったものの methamphetamineの処置により運動は著明に亢進した。従って、逆耐性の発現と形成は異なる機序によることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Istradefilineの弁別刺激効果について検証を行ってきたが、コロナにより実験の中断を余儀なくされ、また、その後に、多くの動物が寿命などを迎え、予定通りに進まなかったため、交差逆耐性現象ならびにD2-受容体作動薬による検証に注力した。
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Strategy for Future Research Activity |
A2A-受容体拮抗薬であるinstradefyline、delta-作動薬であるSNC80とmethamphetamine間に認められた不完全な交差逆耐性に関する遺伝子の関与ならびに薬物弁別法を用いたD2-受容体含有中型有棘神経細胞抑制ならびにD1-受容体含有中型有棘神経細胞刺激に伴う摂取感覚効果相違ならびに機序について、各受容体の調節薬を用いて明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で研究が中断してしまった。今後、薬物弁別法を用いた摂取感覚効果における検証を行なっていく。さらに、遺伝子変動に関しても検証を行なっていく。
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Research Products
(3 results)