2018 Fiscal Year Research-status Report
内耳前庭有毛細胞のギャップ結合を介した平衡感覚機能障害発症の病態メカニズム解明
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18K06906
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
米山 雅紀 摂南大学, 薬学部, 准教授 (00411710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 太郎 摂南大学, 薬学部, 助教 (30710701)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 内耳前庭 / 平衡感覚障害 / 有毛細胞 / ギャップ結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】平衡感覚障害は加齢に伴い発症し、日常生活動作に著しい悪影響を及ぼすことから”生活の質”の低下が懸念され、超高齢化社会を迎えた我が国において、非常に重要視されるべき疾患である。平衡感覚は、内耳の有毛細胞により受容され、その機能維持にギャップ結合が作り出す膜迷路内のイオンバランスが重要とされるが、詳細は不明である。本研究は、ギャップ結合阻害による平衡感覚への影響について解析した。 【方法】4週齢ddY雄性マウスの内耳内にギャップ結合阻害剤カルベノキソロン(CBX)を局所投与した。処置1日後および7日後に聴性脳幹反応を指標に聴力を測定した。また、尾懸垂試験および水泳試験により平衡感覚機能について解析した。また、処置1日後に平衡感覚受容器細胞である前庭有毛細胞の障害をファロイジン染色法により検出した。さらに、処置1日後および7日後における前庭組織の形態学的変化についてヘマトキシリン染色により観察した。 【結果】対照群では少なくとも処置7日後まで聴力変動はなかった。一方、CBX処置群では、処置1日後より7日後まで聴力悪化がみられた。また、尾懸垂試験では、CBX処置群において処置1日後以降で著しい異常な回転行動が観察された。しかしながら、ファロイジン染色の結果、CBX処置1日後の前庭有毛細胞数および形態に変化は認められなかったが、処置7日後において前庭有毛細胞の形態異常が観察された。また、ヘマトキシリン染色において、CBX処置1日後および7日後における蝸牛および前庭組織の形態に著変は認められなかった。 【考察】これらのことから、ギャップ結合は前庭感覚の機能発現に必須であることが示唆され、内耳ギャップ結合の破綻は著明な平衡感覚障害を引き起こすことが明らかとなった。また、本動物が平衡感覚障害のモデルとして有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ギャップ結合阻害薬であるカルベノキソロン(CBX)の内耳内投与により、平衡感覚に異常がみられ、平衡感覚機能障害モデルマウスの作成に成功した。予定通り、平衡感覚機能におけるギャップ結合の役割について解析を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
平衡感覚機能障害モデル動物でみられる平衡感覚機能の異常と前庭ギャップ結合の機能障害との関わりを明らかにする。また、前庭ギャップ結合の破綻と有毛細胞の機能維持について解析する。さらに、同モデル動物の個体機能と前庭有毛細胞に対する薬物(神経栄養因子、抗酸化剤、カルパイン阻害剤)の影響を解析し、障害された有毛細胞の機能を予防・回復・維持させる薬物を探索する。
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Research Products
(24 results)