2019 Fiscal Year Research-status Report
血小板CLEC-2を介した動脈硬化進展の機序を解明する
Project/Area Number |
18K06912
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
井上 修 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任教授 (00432154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 克枝 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10324211)
築地 長治 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (20710362)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CLEC-2 / 動脈硬化 / 血小板 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度計画【2】血小板CLEC-2欠損マウスへの高脂肪食負荷によるプラーク形成の再検討によって血小板CLEC-2がプラーク形成に対して増悪因子になっていることが示唆されたため、予定通り令和元年~令和2年度実施予定の【3】血小板CLEC-2欠損がプラーク形成を抑制するメカニズムの解明に取り組んだ。組織学的検討においては高脂肪食負荷を与えたApoE欠損マウス(コントロール)と血小板特異的CLEC-2欠損を導入したApoE欠損マウスの大動脈弁(動脈硬化性プラークが安定して観察される部位)の凍結切片を作製し、CD68及びα-SMAの免疫染色を行った。血小板特異的CLEC-2欠損マウスではコントロールに比べて、マクロファージマーカーCD68の発現エリアの減少が認められたため、プラークの不安定性が低下していることが示唆された。一方、平滑筋細胞の増大はマクロファージとは逆にプラークの安定性の指標であるが、平滑筋細胞マーカーα-SMAの発現エリアについては大きな違いは認められなかった。しかし、プラーク面積やマクロファージ数が減少したことを加味すると、プラークあたりの相対的な平滑筋細胞の比率は上昇していると考えられ、これもプラークの安定化と捉えることができると考えた。血小板CLEC-2が平滑筋細胞やマクロファージの遊走に影響を与えるかについては、当初はin vitroで解析する予定だったが、in vivoで血管内での血小板と白血球(特に単球)の相互作用を観察することで、本来の姿を捉えられると考え、in vitroの実験に先んじてその観察方法の立ち上げを行った。本学工学部ものづくり教育実践センターの協力のもと、総頸動脈内を流れる蛍光標識した血小板と白血球が血管内皮に接触する瞬間を観察する装置を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年~令和2年度に実施予定の【3】血小板CLEC-2欠損がプラーク形成を抑制するメカニズムの解明において組織学的解析に使用するサンプルを採取し、マクロファージマーカーCD68や平滑筋細胞マーカーα-SMAの染色を行い、昨年度得られた血小板CLEC-2欠損がプラーク形成を抑制するという結果を支持するより詳細な結果が得られた。in vitroでの血小板と平滑筋細胞及びマクロファージの相互作用の実験は、より本来の姿に迫るべくin vivoでの実験に切り替え、その観察装置の開発に成功した。in vitroの実験に関してはTHP-1細胞の導入を完了している。以上より実験計画の実験手法変更等があったが全体としては予定通り進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画【3】血小板CLEC-2欠損がプラーク形成を抑制するメカニズムの解明において、頸動脈内で血小板や白血球の動きを捉える手法を確立することに成功したため、実際に高脂肪食負荷を与えたApoE欠損マウスと血小板特異的CLEC-2欠損を導入したApoE欠損マウスを用いて血管内皮上での血小板や白血球の動態を観察する。THP-1細胞を導入したことから、in vitroの培養細胞を用いた解析も進める。動脈硬化プラークの形成には単球の遊走能の亢進に加えて、酸化LDLコレステロールの取り込みも重要な因子となるため、血小板CLEC-2がそれらに影響を与えるか調査する。導入予定の遺伝子組換えマウス(podoplanin欠損マウス作製用の組織特異的Creマウス等)については飼育区域の制限などにより困難になる恐れがあるため、導入を進めつつも上記のin vitro, in vivoでの解析を中心に進める。
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Research Products
(5 results)