2018 Fiscal Year Research-status Report
小胞体とミトコンドリア間のオルガネラ連携を介した細胞機能制御機構の解明
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18K06916
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
加藤 裕紀 宮崎大学, 医学部, 特任助教 (40610283)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オルガネラクロストーク / 小胞体 / ミトコンドリア / ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物における複雑な細胞機能は、オルガネラが正しく働くことにより維持されている。ところがオルガネラは、細胞が受けるストレスが原因となり機能低下を呈してしまう。そのため細胞には、オルガネラ機能低下を軽減・予防するためのさまざまな機構が備わっている。本課題は、異なるオルガネラの情報交換(オルガネラクロストーク)を介したオルガネラ品質管理機構の分子メカニズム、生理的意義を解明することを目的としている。得られた成果は下記の通りである。①小胞体膜上に局在するキナーゼが他オルガネラであるミトコンドリアで生じたストレスを受容し、品質管理に寄与した。②ミトコンドリアの品質管理に必要な小胞体局在キナーゼのリン酸化修飾部位を同定した。③同定した②のアミノ酸配列に対するリン酸化抗体を作製した。④ 小胞体局在キナーゼのリン酸化は褐色脂肪細胞の熱産生を制御した。これらの研究成果により、ミトコンドリア-小胞体クロストークを介した新規オルガネラ品質管理機構が存在し、それがリン酸化を介したシグナル伝達により制御されていることが考えられた。さらに褐色脂肪細胞の熱産生を制御している点から、この機構は全身のエネルギー代謝の調整に重要な役割を果たしている可能性が考えられた。このことから、ミトコンドリア-小胞体クロストークを介した新規オルガネラ品質管理機構の分子メカニズムを解析することで、代謝性疾患の病態メカニズムの解明に繋がることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミトコンドリア-小胞体クロストークを介した新規オルガネラ品質管理機構の存在を明らかにし、今後の解析に必要なリン酸化抗体を作製しており、本課題は順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ミトコンドリア-小胞体クロストークを介した新規オルガネラ品質管理機構の分子メカニズム、特にリン酸化修飾、下流シグナルに焦点を当てて解析を実施する。また、現在作出している小胞体局在キナーゼのリン酸化修飾サイトに変異を挿入したノックインマウスの解析を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)