2018 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞における直鎖状ユビキチン鎖形成を介した新規NF-κB活性化機構の解析
Project/Area Number |
18K06918
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
後藤 栄治 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (40435649)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | NF-κB / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
LUBAC(linear ubiquitin chain assembly complex)は、HOIL-1L、HOIP、SHARPINからなる約600kDaの複合体型ユビキチンリガーゼであり、ユビキチンのN末端Metを介する直鎖状ユビキチン鎖を特異的に生成する。LUBACによって生成された直鎖状ユビキチン鎖は、炎症や免疫制御に中心的な役割を果たすNF-κBシグナルの活性化や細胞死制御に関与することが知られている。本研究課題では、T細胞受容体(TCR)刺激に伴うNF-κB活性化へのLUBACの寄与を明らかにすると共に、直鎖状ユビキチン鎖形成とNF-κB活性化との関係を数理シミュレーションにより解析し、NF-κB活性化における直鎖状ユビキチン鎖形成の重要性について検討を行った。 CRISPR/Cas9システムによりHOIP欠損Jurkat細胞を作製し、TCR刺激に伴うNF-κB活性化を解析した。その結果、LUBAC活性はTCRを介したNF-κB活性化に必須であることが分かった。さらに、LUBACはTCR刺激依存的にCARMA1-BCL10-MALT1から成るCBM複合体と相互作用し、MALT1→CARMA1→BCL10の順に直鎖状ユビキチン鎖を付加することが明らかとなった。また、数理シミュレーションを用いた解析により、CBM複合体の直鎖状ユビキチン化は相互に影響を与え、CBM複合体とNEMOの直鎖状ユビキチン化がIKK活性化を導くことを見出した。また、脱ユビキチン化酵素であるOTULIN、CYLDの関与を調べた結果、OTULIN欠損により顕著なNF-κB活性亢進が認められた。これらの結果は、TCR刺激を介したNF-κB活性化経路における直鎖状ユビキチン鎖形成の関与を示した重要な知見であり、将来的に、NF-κBの活性化が関与する様々な疾患発症機構の解明にも繋がるものと考える。
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Research Products
(1 results)