2019 Fiscal Year Annual Research Report
肺胞上皮分化を制御する新たな上皮間葉相互作用の分子基盤の解明
Project/Area Number |
18K06930
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
麓 勝己 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40467783)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Mark1 / 肺胞 / 数理モデル / 肺胞上皮細胞 / 形態形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺発生の後期では、II型肺胞上皮、およびI型肺胞上皮細胞の2種類の肺細胞が肺遠位saccule構造を形成する。私は線維芽細胞に発現するMAP-microbutule affinity regulating kinase 1(Mark1)が肺遠位saccule構造形成にどのように必要とされるのかについて検討した。 ゲノム編集によってMark1ノックアウト(KO)マウス作製し、表現型を解析したところ、肺遠位saccule構造形成およびI型肺胞上皮の扁平化は著しく損なわれた。さらに胎児肺上皮細胞を用いた肺胞オルガノイド培養法を構築し、線維芽細胞と共培養すると肺細胞に分化し、拡張した内腔を有するオルガノイド を形成することを見出した。しかし、Mark1 KO線維芽細胞の存在下ではI型肺胞上皮の扁平化が損なわれ、オルガノイドのサイズは減少した。 Mark1 KO線維芽細胞において、繊毛形成およびヘッジホッグ経路は抑制され、コラーゲンの発現が低下した。Mark1 KO線維芽細胞と共培養したオルガノイドにおいて、コラーゲンの添加はI型肺胞上皮の扁平化を誘導し、オルガノイドのサイズの減少もレスキューした。肺胞オルガノイド を模した数理モデルにおいて、I型肺胞上皮の扁平化はsaccule構造形成に必要であることを見出した。これらの結果は、Mark1によって活性化した線維芽細胞はI型肺胞上皮の扁平化を誘導し、肺遠位saccule構造形成を調節することを示唆している。
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