2020 Fiscal Year Annual Research Report
Amino acid signaling in the downstream of endothelially expressed amino acid transporter LAT1 that contributes to tumor angiogenesis
Project/Area Number |
18K06931
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大垣 隆一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20467525)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アミノ酸 / トランスポーター / 腫瘍血管新生 / シグナル伝達 / 血管内皮細胞 / 抗悪性腫瘍薬 / mTORC1 / LAT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト血管内皮細胞初代培養を用いて、LAT1が腫瘍血管新生に寄与する分子機構の解析を実施した。発現制御機構の解析から、VEGF-A(Vascular endothelial growth factor A)やFGF-2(Fibroblast growth factor 2)といった主要な血管新生促進因子によって、血管内皮におけるLAT1の発現が亢進することを見出した。細胞増殖に対する影響の検討では、LAT1阻害薬や、siRNAによる発現抑制が顕著な増殖抑制効果を示した。その際、タンパク質翻訳の開始を正に制御するmTORC1(Mechanistic target of rapamycin complex 1)経路の抑制と、負に制御するGAAC(General amino acid control)経路の活性化が見られた。また、LAT1の阻害や発現抑制が、VEGF-A依存的な血管内皮細胞の遊走、浸潤、管腔形成を抑制することに着目し、この条件下での受容体チロシンキナーゼVEGFR2下流の血管新生関連因子のリン酸化状態を解析した。その結果、LAT1によるアミノ酸取込みは、VEGF-AによるmTORC1の活性化に必須であることを見出した。その際、VEGFR2の下流であり、mTORC1上流の因子であるAktのリン酸化状態には影響が見られなかった。LAT1を介したアミノ酸シグナルは、VEGFR2-Aktとは独立に、mTORC1をリソソーム膜上へとリクルートすることで活性化因子Rhebとの相互作用を制御しているものと考えられる。以上より、LAT1を介したアミノ酸の輸送は、血管内皮細胞の増殖およびタンパク質翻訳開始制御において極めて重要であること、LAT1が制御するアミノ酸シグナルが、VEGF-A依存的な血管新生関連シグナルのゲートキーパーとして腫瘍血管新生に寄与していることが示された。
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