2019 Fiscal Year Research-status Report
免疫系特異的オートファジー制御因子Rufy4による炎症応答制御
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18K06937
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
寺脇 正剛 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (60437217)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オートファジー / 免疫応答制御 / 炎症 / ユビキチン / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの解析によりIL-4の存在下で誘導された骨髄由来の樹状細胞ではオートファジー活性化因子Rufy4の発現が誘導されインフラマソーム依存的な炎症性サイトカインIL-1βの産生が低下すること、またLPS点鼻投与肺炎モデルマウスにおいてはRufy4欠損により炎症の増悪が認められ、Rufy4が呼吸器の炎症疾患に対して保護的に働く可能性が示唆されている。実際にアレルギー疾患の環境下では肺胞洗浄液に含まれるCD11b+樹状細胞や肺胞マクロファージにおいてもRufy4の発現が認められる。IL-4存在下で誘導された樹状細胞ではオートファジー誘導に関わるULK1やAMBRA1の脱リン酸化が誘導されており、LPS刺激によるこれらオートファジー開始因子のリン酸化に対しても抵抗性を示した。IL-4はSTAT6による遺伝子発現誘導に加えIRS-1/2を介したシグナルが伝達される。IRS-1はAkt/mTORの活性化を誘導することから、ULK1やAMBRA1のリン酸化を介してオートファジー抑制的に機能すると予測されたが、樹状細胞におけるIL-4シグナルはむしろULK1やAMBRA1のリン酸化を抑制した。別の研究グループによりIRS-2がオートファジーを亢進させるとの報告もあることから、細胞種によるIRS1/2の発現パターンの違いが、IL-4によるオートファジー制御機構の差異を生んでいる可能性も考えられる。実際、IL-4と抗IFN-γ抗体の存在下でTh2型に分化させたマウスT細胞では、Rufy4の誘導やオートファジーの活性化は認められなかった。これらのデータは免疫細胞においてもIL-4やその下流で誘導されるRufy4が特定の免疫学的条件下でのみ機能するオートファジー制御因子であることを支持している。今後も引き続きシグナル伝達の視点からオートファジーによる炎症応答制御について解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においてはRufy4によるオートファジー活性化機構とそれらがもたらす炎症性シグナル伝達の解析と生理学的意義の解明において順調に進捗した。またマウスを用いた疾患モデルについては引き続き表現型の解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き細胞を用いたin vitroにおけるシグナル解析、およびオートファジー制御機構の解明を進めると共に、マウス疾患モデルを用いたin vivoの解析を集約的に進め、Rufy4を中心としたオートファジーによる炎症応答制御機構の全体像を明らかにすること目指す。
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Research Products
(2 results)