2018 Fiscal Year Research-status Report
血管機能異常と炎症亢進に着目したダウン症の脳発達遅機構の解析
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18K06940
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
石原 慶一 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (80340446)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダウン症候群 / 炎症 / ミクログリア / 血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダウン症候群 (DS) は最も頻度の高い精神発達遅滞の原因である.ほとんどのDS者は精神遅滞を呈するが,その治療法はもとより分子メカニズムも分かっていない.我々はこれまでに,DSマウスの胎仔大脳皮質における神経新生低下を明らかにしており,この低下が精神発達遅滞の中心的役割を担っていると考えている.そこで,網羅的遺伝子発現解析であるマイクロアレイを用いたDSマウスモデルの胎生期脳での発現変動遺伝子の網羅的解析を行った結果,炎症関連分子の発現亢進や炎症関連細胞のマーカー分子の発現亢進とDSマウスモデル胎仔脳での炎症細胞や免疫細胞の分布異常を突き止めた.加えて,この炎症細胞や免疫細胞の分布異常の原因遺伝子がトリソミー領域にコードされる転写因子であることを突き止め,さらに,この転写因子の3コピー化が胎仔大脳皮質のニューロン新生減少の原因でもあることもあきらかとした.これとは別に,成体脳での元素量を網羅的に調べるエレメントミクス解析も行い,DSモデルマウスの成体脳での銅蓄積も見出し,この銅蓄積が酸化ストレス亢進の原因であることも明らかとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダウン症マウスモデルを用いたダウン症精神遅滞分子メカニズムの解析を行い,ダウン症マウスモデル胎仔期の異常表現型として脳内炎症の亢進や脳免疫細胞の異常を見出した.さらに,成体期での異常として脳での銅蓄積も見出した.
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Strategy for Future Research Activity |
ダウン症モデルマウスの胎生期脳での炎症亢進が脳血管の異常に由来していることを想定しており,研究を進めている.脳血管の機能異常と形成異常の詳細解析を行い,神経細胞の遊走異常の検出も試みていく.
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Causes of Carryover |
当初予定していたマウス購入費が少なく済んだため.次年度使用額は少額であるが,次年度,物品費として使用する.
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Research Products
(7 results)