2020 Fiscal Year Annual Research Report
Reinforcement of colonic epithelial barrier via mAChR
Project/Area Number |
18K06946
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
谷口 隆信 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60217130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢澤 隆志 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00334813)
加藤 剛志 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (60194833)
宇和田 淳介 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70580314)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | TNF / MAP kinase / p38 / ADM17 / STIM1 / SOCE |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は腫瘍壊死因子(TNF-α)によって惹起される腸上皮バリアの障害がムスカリン受容体刺激によって緩和されるメカニズムについて追究している。ムスカリン M3受容体刺激によって細胞内カルシウム濃度が上昇するが、これに引き続くp38MAPキナーゼの活性化メカニズムに焦点を当て、store-operated calcium entry (SOCE)がp38MAPキナーゼの活性化に重要であることを見出した。 ヒト大腸癌由来のHT-29/B6細胞を腸上皮のモデルとして用い、M3刺激を行うと一過性の細胞内 カルシウム濃度の上昇に引き続き、持続性の上昇が数分間継続する。p38のリン酸化はこの持続性の上昇と同じタイムコースで生じていた。Gd3+やYM-58483を SOCEの阻害剤として加えると、この持続性の細胞内カルシウム濃度 の上昇は消失し、p38のリン酸化も消失、ADAM17を介するTNFR1のシェディングが低下して、 TNF/TNFR/NFkB経路に対する抑制効果も失われた。SOCEの主要な構成因子の一つであるSTIM1をノックダウンすることによっても、持続性の細胞内カルシウム濃度 上昇の消失以下同様の現象が観察され、ムスカリンM3受容体活性化に引き続くSOCEがp38MAPキナーゼを正に制御し、プロテアーゼであるADAM17を活性化してTNFR を切断/可溶化することによりTNF-α経路を遮断し、炎症の拡散進展を抑制していると考えられた。 この研究の過程でp38MAPキナーゼを阻害する物質としてPNU-120596を見出した。この物質はα7 nAChRのpositive allosteric modulatorとして広く用いられているが、p38MAPキナーゼに直接結合してα7 nAChRを介することなく阻害作用を発揮していた。
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