2022 Fiscal Year Research-status Report
コレクチン複合体CL-LKが3MC症候群の病態に与える影響とその分子基盤の解明
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18K06947
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
松田 泰幸 旭川医科大学, 医学部, 助教 (10532252)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コレクチン / 3MC症候群 / 発生 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの形態形成に異常をきたす遺伝病(3MC症候群)においてCL-K1、CL-L1の変異が見つかったことから、CL-K1、CL-L1は生体防御としての機能のみならず、ヒトの形態形成に関与するという全く新しい役割を担っていることが明らかにされた。コレクチンはコラーゲン領域によってホモ複合体を形成するが、CL-K1とCL-L1は生体内においてヘテロ複合体CL-LKを形成していることが明らかとなったことから、ヘテロ複合体CL-LKがヒトの形態形成に関与し、その複合体形成異常が3MC症候群の発症に関与していると推察される。本研究では、野生型および3MC症候群で見つかった変異型のCL-L1、CL-K1のヘテロ複合体形成の有無およびヘテロ複合体CL-LKの役割を明らかにすることで、3MC症候群の発症原因や発症機序を見出すことを目標としている。 昨年度までの研究から、3MC症候群で報告されている変異型CL-L1はCL-K1とヘテロ複合体を形成していないことがわかった。本年度はこのCL-LKヘテロ複合体形成不全がなぜ生じているのかを明らかにするため、野生型および変異型CL-L1の差異について検証を行った。野生型および変異型CL-L1を過剰発現させた細胞から培養上清を回収し、CL-L1の検出を試みた結果、野生型CL-L1は培養上清中に含まれているのに対し、変異型CL-L1は培養上清中から検出されなかった。変異型CL-L1/野生型CL-K1を共発現させたこれまでの検討においても、培養上清中からCL-L1を検出することはできていない。これらの結果からCL-L1の構造的安定性がヘテロ複合体CL-LKの形成および3MC症候群の発症の有無に関与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CL-L1の構造安定性がCL-LK形成の可否や3MC症候群の発症有無に関与している可能性を示すことができ進展はあったものの、研究期間全体としては当初想定していた予定よりも遅れが生じており、そのため進捗状況の区分を“やや遅れている”とした。
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Strategy for Future Research Activity |
3MC症候群で報告されている変異型コレクチンがヘテロ複合体CL-LK形成に影響を与えていることがわかったが、CL-LKがどのようにして形態形成に関わるのかが依然として不明なままである。CL-LKが担う生体反応機序について検証を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
タンパク質過剰発現系によるCL-L1やCL-K1の発現・精製を行う段階で遅れが生じて以来、研究の進捗はあるものの当初計画していた実験に遅れが生じており次年度への繰越しが発生している。次年度の研究にかかる費用として使用させていただきます。
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