2018 Fiscal Year Research-status Report
新規インスリン分泌促進・阻害化合物の分子機構の解明
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18K06950
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松永 耕一 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (20570162)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インスリン / ケミカルバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はハイスループットなインスリン分泌アッセイ系を構築し、今まで困難であった、網羅的なインスリン分泌制御分子のスクリーニング解析を可能にした。上記アッセイ系を用い、理研・NPDepoの天然物由来化合物ライブラリにおけるスクリーニング解析を終了し、4種類のグルコース刺激依存的な分泌促進化合物と、2種類の分泌完全阻害化合物を同定した。さらに分泌促進化合物について、マウスから単離した膵島によるex vivo解析においても、これら化合物群が効果的に分泌を促進することを見出した。 さらに化合物を共有結合させた磁気ビーズを作成し、それを用いてβ細胞抽出液から研究代表者は、4種の分泌促進化合物のうち、一つ(化合物X)と特異的に結合するターゲットとして、ミトコンドリアに存在するたんぱく質を同定した。このタンパク質をノックダウンしたINS1細胞(ラット膵β細胞株)では、化合物Xを添加したときでもグルコース依存性のインスリン分泌増強の効果が見られなかったことから、化合物Xのターゲットがこのタンパク質であることが強く示唆された。化合物Xがミトコンドリアのタンパク質と結合するという知見から、ミトコンドリアが化合物Xの作用部位である可能性を考えた。化合物Xがミトコンドリア細胞内ATP濃度上昇を増強している可能性を調べるために、細胞内ATP量を測る事のできるATPセンサーを用いて、化合物Xを添加/非添加時の、グルコース刺激下での細胞内ATPの濃度をリアルタイムで測定する実験を行っている。加えて化合物Xの細胞内局在の詳細を調べるために、大阪大学との共同研究により、化合物Xにアルキン基を付与し、これをアルキンタグとして検出できるラマン分光顕微鏡を用いて、化合物の細胞内での挙動を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スクリーニング解析により同定されたインスリン分泌促進・阻害化合物の一つ、化合物Xについての解析により、化合物Xに特異的に結合するターゲットとして、ミトコンドリアに存在するたんぱく質を同定した。さらに化合物Xがミトコンドリア細胞内ATP濃度上昇を増強している可能性を調べるために、細胞内ATP量を測る事のできるATPセンサーを用いて、化合物Xを添加/非添加時の、グルコース刺激下での細胞内ATPの濃度をリアルタイムで測定する実験を行っており、化合物Xが有意に細胞内ATP濃度を上昇させることを示唆するデータが得られた。また、大阪大学との共同研究により、ラマン分光顕微鏡を用いて、化合物Xの細胞内での挙動を調べており、観察を行うための実験系が確立しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度のデータをふまえて、引き続き化合物Xがミトコンドリアタンパク質をターゲットとし、細胞内ATP濃度を上昇させていることを確認する。具体的にはATPセンサーを用いたATP濃度のリアルタイム測定と、生化学的解析による細胞内ATP濃度の測定を行う。さらに化合物Xの細胞内の挙動を調べるために、ラマン分光顕微鏡を用いた化合物の観察のための実験系の最適化を行う。
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