2018 Fiscal Year Research-status Report
RSKキナーゼ群の機能差を生み出す分子基盤の解明と阻害剤による乳がん抑制への応用
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18K06958
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
福田 信治 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 講師 (70398238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 尚代 (西田尚代) 関西医科大学, 医学部, 助教 (00802703)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乳腺細胞 / シグナル伝達 / RSK2 / 近傍標識法 |
Outline of Annual Research Achievements |
シグナル伝達経路を構成するリン酸化酵素群(キナーゼ)は、細胞増殖を始めとする多彩な生命現象を制御することが広く知られている。しかし、個々のキナーゼメンバーが特異的に持つ役割には不明な点が多い。本研究は、乳がんなど様々ながんで高発現を示すp90 Ribosomal S6 Kinase (RSK)ファミリーに着目し、申請者がこれまで研究を行なってきたRSK2を中心に、RSK1など他のメンバーとの違いを解明する。これらは抗がん剤の候補となるRSK阻害剤の特異性を評価する上でも重要である。当初の計画ではRSK2-GFP融合タンパク質をノックインした乳腺上皮細胞MCF10Aから免疫沈降によりRSK2複合体を単離する予定であったが、キナーゼという特性から、他の分子との相互作用が一過的な可能性が高く、質量分析による因子同定が困難であった。そこで今年度は、近傍標識酵素BirA, APEXをC末に融合したRSK2コンストラクトを構築することとし、ビオチン化される分子群の検出を行った。この実験から、確かにビオチン化タンパクが存在することは明らかになったが、その量が想定よりも少なく、ビオチン化効率があまり高くないことがわかった。そこで2018年に発表されたBirA改変酵素TurboID cDNAを入手し、RSK2-TurboIDを発現するコンストラクトを構築した。まず293T細胞で検討を行ったところ、確かにBirAよりも活性がかなり高いことが分かった。現在、このコンストラクトでRSK2近傍に位置する分子の同定を進めており、系が確立し次第、RSK1で同様の実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RSK2結合因子の同定のため、近傍ビオチン酵素BirA, APEXを使用したが、ビオチン化効率が想定よりも低かった。このため、最近開発されたTurboIDで同様の実験を再実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
レンチウイルス発現系でRSK2-TurboIDを発現する細胞株を樹立し、ビオチン化の最適条件を検討する。その後、実際にビオチン化タンパクの回収と質量分析を行う。相互作用分子が同定されるのを確認したのち、RSK1で同様の実験を行う。
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Causes of Carryover |
RSK2相互作用因子を質量分析で同定する計画であるが、ビオチン化効率を最適化している最中であり、質量分析以降のステップの費用が次年度使用となった。
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Research Products
(4 results)