2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of membrane repair mechanism
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18K06965
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
堀尾 嘉幸 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30181530)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | SIRT1 / 細胞膜 / 修復 / 筋芽細胞 / 筋細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
C2C12 筋芽細胞を用いて脱アセチル化酵素SIRT1の膜修復機能への関与について検討し、正常C2C12細胞の細胞膜にレーザーを用いて穴を開け、穴から細胞内に流入するFM1-43蛍光色素によって穴の修復過程を間接的にモニターする実験系を確立した。 C2C12細胞をSIRT1阻害薬のニコチンアミドで処理すると穴の修復が阻害され、ニコチンアミドを作用させない場合に比して、著しいFM1-43色素の細胞内への流入が観察された。同様にSIRT1阻害をおこなうEx527にも穴修復を阻害する活性を認めた。SIRT1が実際に修復に関与するかどうかを調べるため、SIRT1-siRNAを用いてSIRT1をノックダウンしたC2C12細胞を用いて細胞膜の穴修復を検討した。SIRT1をノックダウンすると穴の修復が著しく阻害され、SIRT1が膜の損傷後の修復に直接関与していることを初めて明らかとした。さらに、C2C12細胞を筋細胞に分化させて、同様の検討を行った。SIRT1阻害薬のニコチンアミドはC2C12 筋芽細胞同様に筋細胞の細胞膜の穴修復を阻害した。 以上のことからSIRT1は細胞膜修復機構に関与することを初めて見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究申請の最大の疑問である「SIRT1は細胞膜の修復に関与するのか?」の問いに対して、SIRT1が直接細胞膜修復に関与することを世界で初めて観察することができた。 従って、SIRT1はこれまで本研究者を含めて明らかとされてきた転写を介した細胞生存を促す機能の他に、細胞膜の損傷とその修復という新たな機能を持つことを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
筋特異的SIRT1ノックアウトマウスや心筋特異的SIRT1ノックアウトマウスにおいて、それぞれ骨格筋と心筋の膜修復が抑制されているかどうかを検討する。 また、これらのマウスにおいて、骨格筋や心筋の障害レベルが高いかどうかを検討する。 SIRT1が膜修復にどのように関与するのか、その分子メカニズムを明らかとする。 SIRT1の活性化剤が膜修復を促すかどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
わずかな金額(841円)であるため、無理に使用せずに次年度へ繰り越して有効に使うことにした。
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