2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of molecular mechanisms of cell proliferation in BAP1-mutated cancer using synthetic lethal phenotypes
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18K06979
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
村上 優子 (渡並優子) 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (70405174)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 悪性中皮腫 / 合成致死 |
Outline of Annual Research Achievements |
BAP1遺伝子は悪性中皮腫をはじめ多くのがんで変異があることが知られているが、がん抑制遺伝子であるためBAP1そのものを標的とする薬剤の開発は困難である。ゲノムワイドなshRNAライブラリーを用いてBAP1変異に対し合成致死表現型を示す遺伝子を同定するスクリーニングを行った。得られた候補遺伝子のうち、DNA修復に関わる脱ユビキチン化酵素USP1とCHK2キナーゼについて集中して解析を進めることとした。 前年度までに、以下のことを明らかとした。1)肺がんのBAP1変異細胞株についても、変異がない細胞に比べML323(USP1阻害試薬)とPV1019(CHK2阻害試薬)により感受性を示した。すなわち悪性中皮腫で得られた候補遺伝子は肺がんにおいても同様の表現型を示した。2)BAP1変異細胞をマウスに移植し、CHK2阻害剤であるPV1019投与すると有意に増殖抑制が起こった。つまり、BAP1変異とCHK2キナーゼ阻害の合成致死性は、個体レベルでも保たれていた。3)USP1の標的であるFANCD2について、in vitroでBAP1も脱ユビキチン化可能であった。4)BAP1変異と合成致死表現型を示す化合物側を同定するために、名古屋大学ITbMライブラリーを用いたスクリーニングを行い化合物を1種類取得した。 それらの結果を踏まえ本年度は以下の知見が得られた。1)BAP1変異悪性中皮腫細胞およびBAP1をノックダウンした正常中皮細胞においてDNA複製の速度を検討した。予備的な結果であるが、BAP1をノックダウンすることでS期が遅延することが示唆された。2)BAP1変異特異的に細胞増殖を抑制する候補化合物について、構造活性相関を調べるためのサブライブラリーのスクリーニングを行い、活性に重要な部分の特定を行なった。
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Research Products
(5 results)