2020 Fiscal Year Annual Research Report
Clinicopathological and molecular analyses of primitive phenotypic transformation in cancer development
Project/Area Number |
18K06983
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛久 哲男 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (60376415)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 胃癌 / 胎児形質 / 悪性度 / 治療標的 / 免疫回避機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃癌の中でも特に悪性度の高い亜型として知られるalpha-fetoprotein (AFP)産生胃癌、肝様腺癌、胎児消化管上皮類似癌などを含む胃癌の一群である胎児形質胃癌の臨床病理学的特徴、遺伝子異常の特徴、そしてその成り立ちについて明らかにするため、研究を進めた。胃癌の胎児形質転換に伴い獲得する免疫回避機構関連遺伝子や特徴的に高発現する癌関連遺伝子を網羅的遺伝子発現プロファイルのデータベース等から抽出した。これらの遺伝子に関して、多数の臨床検体を対象とし、免疫染色やFISH法等を用いて発現や遺伝子増幅プロファイルの解析を進めた。 これらの結果から、胎児形質胃癌は他の胃癌に比してより多彩な免疫回避機構を駆使して生存アドバンテージを獲得していることが高悪性度形質に関連していることが示された。 さらに治療標的候補分子として、阻害剤が存在する受容体型チロシンキナーゼの1つが胎児形質胃癌に特徴的に高発現することを見出すことができた。AFP産生胃癌細胞株を用いた阻害薬効果の評価を進め、一定の増殖抑制効果が示された。その他にも、胎児形質胃癌に特徴的に高発現し、新規の治療標的となり得る分子を複数同定し、それぞれについて多数の臨床検体を用いて胃癌のサブタイプごとの発現率や患者予後を含む臨床病理学的因子との関係について解析を行った。これらの治療標的分子についても、細胞株を用いた阻害剤効果の評価や機能解析が進行中である。さらに、胎児形質胃癌の中でも分化の可塑性が特に高まり多様な細胞分化を示す一群を見出し、臨床病理像の多様性を明らかにすることができた。ゲノム解析結果から胎児形質胃癌に特異的な遺伝子変異は見いだせなかったが、発現プロファイルからこの高悪性度胃癌に特徴的な治療標的分子や免疫回避機構機構の一端を明らかにすることができた。
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Research Products
(8 results)