2020 Fiscal Year Research-status Report
新たな前立腺癌治療の可能性の探索‐グルココルチコイド受容体発現意義の解明‐
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18K06995
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
端 秀子 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (90466532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 保宏 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (80396499)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / グルココルチコイド受容体 / デキサメタゾン / SGK1 |
Outline of Annual Research Achievements |
グルココルチコイドは一般的に癌抑制と考えられているが、癌の種類によってはグルココルチコイド受容体(GR)の発現は予後が悪いという報告がなされている。前立腺癌におけるグルココルチコイドとGRへの影響についての詳細は十分には解明されていない。本年度は、ヒト前立腺癌培養細胞株DU145におけるデキサメタゾン(Dex)添加による細胞の浸潤能への影響を検討し、グルココルチコイドの応答遺伝子であるSGK1のタンパク発現を経時的に検討した。また、DU145における Dex添加による前立腺癌関連およびグルココルチコイド関連遺伝子の発現動態をPCR Array(QIAGEN)を用いて検討した。 DU145細胞の浸潤能は、invasion assays(Cell Biolabs)を用いて行った。その結果、100nMのDex添加により有意な浸潤能の増加が認められた。SGK1のタンパク発現は、前年度検討したmRNA発現同様、3、6、24、48時間いずれにおいても顕著に上昇した。PCR Arrayは、前立腺癌関連では2倍以上のup regulationがあった遺伝子は3種、down regulationは1種検出された。グルココルチコイド関連では、up regulationは26種、down regulationは1種検出された。 これらの結果から、グルココルチコイドは、前立腺癌細胞の増殖や浸潤に影響を及ぼしており、また前立腺癌関連遺伝子やグルココルチコイド関連遺伝子の発現に影響を及ぼしていることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の蔓延による緊急事態宣言により、研究を中断せざるを得ない期間が発生した。 培養細胞のDex添加による影響をPCR Arrayにより解析し検討を行うことが出来たが、関連するサイトカインアレイ(RayBio)による検討も行う予定であったが、出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
PCR Arrayで得られた結果から、up regulationおよびdown regulationした遺伝子のバリデーションを行い確認する。また、関連するサイトカインアレイによる検討も行う。グルココルチコイドと前立腺癌の病態との関連を更に検討し、ヒト前立腺癌組織と培養細胞実験における比較・検討を行い、総合評価を行う。
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Causes of Carryover |
サイトカインアレイ(RayBio)が出来なかった。その分を見込んでいた金額を次年度に繰り越す。培養細胞のサイトカインアレイ解析を実施する。
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