2020 Fiscal Year Annual Research Report
Histogenesis of mucinous ovarian carcinomas: From a viewpoint of genome imprinting
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18K07010
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
加藤 哲子 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (40312730)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ゲノムインプリンティング / 卵巣 / 粘液性癌 / 奇形腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
補助事業期間全体(3年間)を通して実施した研究の成果は以下の通りである。 i) 卵巣成熟奇形腫におけるmethylation-sensitive multiplex ligation-dependent probe amplification (MS-MLPA)解析(初年度および次年度に実施) 卵巣成熟奇形腫は卵細胞から発生するため、卵由来のゲノムのみをもつ。従って、母性、父性インプリンティング遺伝子のメチル化状態は理論上、それぞれ100%, 0%である。これを検証するために外科切除材料12例のホルマリン固定パラフィン切片から腫瘍部、非腫瘍部を採取してDNAを抽出し、MS-MLPA解析を行った、その結果、母性、父性インプリンティング遺伝子はそれぞれ高メチル化、低メチル化を示し、理論に沿うものであった。一方、対照として検討した10例の全胞状奇胎(=雄核発生)ではそれぞれ低メチル化、高メチル化を示し、奇形腫とは逆のパターンであった。 ii) 卵巣粘液性腫瘍におけるMS-MLPA解析(最終年度に実施) i)の結果に基づき、卵巣粘液性腫瘍(癌および境界悪性)についてMS-MLPA解析を行った。成熟奇形腫を合併する粘液性腫瘍7例では母性、父性インプリンティング遺伝子がそれぞれ高メチル化、低メチル化を示し、奇形腫と同様のパターンであった。それに対して奇形腫非合併の粘液性腫瘍21例の解析ではその大部分が体細胞型のメチル化パターンであった。 以上の結果は、卵巣粘液性癌(および境界悪性腫瘍)の少なくとも一部は、卵細胞に由来する奇形腫から発生することを分子病理学的に支持している。ゲノムインプリンティングの解析は腫瘍組織発生の研究にも有用であり、今後、さまざまな腫瘍での応用が望まれる。
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Research Products
(1 results)