2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the cause and pathological process of acquired idiopathic gneralized anhidrosis
Project/Area Number |
18K07013
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
佐野 健司 信州大学, 医学部, 委嘱講師 (50205994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 剛 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (80402121)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 特発性後天性全身性無汗症 / AIGA / CEA / 細胞間細管 / carbonic anhydrase II / GCDFP / T 細胞 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性後天性全身性無汗症(AIGA)は指定難病(163)であり、その原因は特定されていない。原因探求の一環として、AIGA患者の有汗部と無汗部の皮膚生検材料と血清を使用して、以下のような実験を行った。同一患者の有汗部と無汗部の汗腺を形態学的に比較して有意な差を認めた。無汗部汗腺の分泌細胞特に明細胞が浮腫性に障害され、その障害の程度がAIGAの血清マーカーとされるCEAと相関していることである。電顕的に観察すると明細胞の浮腫性崩壊は、CEAが最も高発現を示す細胞間細管という隣接する明細胞の破壊に基づくものと理解された。免疫染色で、明細胞特異的分子carbonic anhydrase II(CA II)の著減が明瞭であり、明細胞の萎縮や消失、明細胞数の減少に相当するものと考えられた。また、終末汗腺に続く導管上皮にも同様に浮腫性変化を見出した。明細胞および導管上皮に発現している分子であるCA II, M3, AQP5, TRPV4,CA XIIなどの自己抗体の有無を検索した。分子特異的発現細胞を作成し、患者血清と健常者血清との比較によって判定したが、有意な結果は得られず、これらの分子に対する自己抗体は否定的な結果となった。免疫染色で汗腺分泌細胞を同定していると、暗細胞のマーカーとなっているGCDFPは管外への漏出が明瞭な症例が多く、リンパ球浸潤を示す症例では、管外漏出したGCDFPがT細胞との接触を強く示唆していた。GCDFP産生は男性ホルモン依存性であることが証明されており、女性の副腎男性ホルモン産生腫瘍例でAIGA発症が報告され、腫瘍が除去され男性ホルモンが低下した後にAIGA症状が消失した。疫学的には圧倒的に比較的若い男性に有意に発症していることからも男性ホルモンがAIGA発症に関与している可能性が高い。これらのことから管外漏出したGCDFPと接触したT細胞が、浮腫の原因となっていると思われるサイトカイン誘導に至っているのではないかと推測している。
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Research Products
(8 results)