2020 Fiscal Year Annual Research Report
The study for the role of NFE2L2 on cell invasion in malignant melanomas.
Project/Area Number |
18K07022
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
柴崎 晶彦 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 助教 (20445109)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | NFE2L2 / PGC1alpha / 悪性黒色腫 / 浸潤転移能 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性黒色腫は予後不良の固形腫瘍の一種であり、我が国でも近年患者数は増加傾向にある。悪性黒色腫治療薬として近年注目されるベムラフェニブは、活性型BRAF変異タンパク質(BRAFV600E)を標的とし、BRAFV600Eを有する悪性黒色腫に対して強い抗腫瘍効果を認めるが、比較的早期に耐性が現れることが知られる。一方、その他の薬剤としてシスプラチンやダカルバジン系薬剤が用いられるが、その奏功率は10%程度と低い。 我々は以前、悪性黒色腫の治療標的となり得る新規分子変異を、次世代シーケンサーを用いて解析し、①KEAP1遺伝子の不活性化変異が症例全体の20%程度にみられること、②それにより活性化されるNFE2L2が薬剤耐性能の獲得に関与することを見出した。しかし、悪性黒色腫の大きな特徴の一つである高転移能獲得におけるNFE2L2の関与については不明な点が多い。 近年、転写共益因子PGC1aが、悪性黒色腫おいてベムラフェニブにより誘導され、インテグリン抑制因子を介した浸潤抑制に関与すること、さらに、PGC1aがNFE2L2と相互作用することが示されている。そこで我々は、NFE2L2は、PGC1aとの相互作用によりインテグリン生成に関わる遺伝子群を制御し、転移に関与する可能性を検討した。 その結果、ベムラフェニブによりPGC1aが誘導されない悪性黒色腫のうちNFE2L2を高発現する細胞株は、NFE2L2をsiRNA法により減弱することによって、浸潤が抑制されることを見出した。その機序として、NFE2L2を介したBACH1経路の関与が示唆されている。以上から、悪性黒色腫の転移能を制御する経路として、PGC1a経路とは別にBACH1経路が存在すること、すなわち、その上流因子であるNFE2L2は悪性黒色腫の転移抑制の標的となりうることが示唆された。
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