2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔悪性腫瘍におけるPKM2の機能および関連因子間制御機構の解明
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18K07033
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
橋本 修一 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (00243931)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PKM2 / TGIF2 / EMT / Warburg effect / 口腔上皮性異形成 / 口腔扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ピルビン酸キナーゼ(PK) M2は癌細胞でのエネルギー産生において嫌気的解糖系の触媒として中心的役割を担っている。近年、癌細胞における核内移行型PKM2が癌の進展を促進するという新たな機能が注目されているが詳細は不明である。本研究では、口腔扁平上皮癌におけるPKM2の発現解析から、その機能や制御機構の解明を目的とした。 1年目は、口腔上皮性異形成(OED)および口腔扁平上皮癌(OSCC)の計48例に対し免疫組織化学的にPKM2およびTGIF2の発現解析を行った。PKM2はOEDよりOSCCで、また、OSCCでは組織分化度が低くなるほど発現が増強する結果を得た。さらには、浸潤部の、特に、紡錘形癌細胞においてPKM2発現が強く、また、核での発現が顕著であった。一方、TGIF2はPKM2とは発現において負の相関がみられた。また、PKM2高発現およびTGIF2低発現は、EMT関連因子発現と相関し、PKM2がEMTを介したOSCCの浸潤に関与していると考えられた。この傾向は、OSCC細胞株を用いた in vitro 実験系でも同様の結果であった。また、TGIF2はタンパク翻訳後に分解制御されることも見出した。以上の結果をまとめ、Oncotargetでの誌上発表を行った。 2年目は、腫瘍関連免疫細胞から産生されるINF-γと癌細胞の増殖能増強との関連が注目されているため、INF-γのPKM2発現制御との関連について検討を行った。OSCC癌細胞株であるHSC4細胞株をINF-γ刺激下で24h培養した結果、PKM2のタンパク発現は増加傾向を、TGIF2は減少傾向を示したが有意差はみられなかった。また、細胞免疫染色の結果からもINF-γ刺激で核内発現への移行も明らかではなかった。今後はINF-γによる24hより長期刺激による比較解析が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目は、口腔上皮性異形成および口腔扁平癌(OSCC)の症例を総計40例以上そろえることができ、免疫組織化学的解析を順調に行うことができた。また、OSCC細胞株であるHSC4細胞も市販されており購入後問題なく培養調整を行うことができ、PKM2およびTGIF2を中心とした発現解析に問題なく利用できた。また、臨床検体からの解析とHSC4細胞培養実験の解析から、核内発現PKM2がEMTに関与することを示すことができた。また、TGIF2発現はPKM2発現とは負の相関にあり、さらには、TGIF2タンパクは翻訳後に分解修飾を受けることを示すことができた。以上のように研究を順調に行うことができ、結果をまとめてOncotargetの誌上で発表を行うことができた。 二年目は、さらに、PKM2およびTGIF2の発現制御機構に関し、腫瘍微小環境での腫瘍関連免疫細胞から産生されるINF-γに着目した実験結果より、両者の関連につき一定の結果を得ることができた。 以上の理由から、研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
PKM2およびTGIF2の発現制御機構につき、IFN-γとの関連についてより進んだ検討を行う。また、EMT誘導関連因子であるHIF1AやZEB1発現との関連についても検討し、腫瘍微小環境下におけるPKM2の発現制御機構と癌細胞核内PKM2の発現機構について腫瘍免疫関連細胞発現因子とも関連した解析を行い、OSCC進展におけるPKM2およびTGIF2の機能と発現制御機構についてさらなる検討を行っていく。また、口腔扁平上皮癌以外にも歯原性腫瘍に対しても検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
最終年度に必要な機器として細胞培養の経過観察に必要なタイムラプス装置と実体顕微鏡撮影装置の価格の総額が約100万円になることが予想されたため次年度使用額が生じた。
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Research Products
(3 results)