2019 Fiscal Year Research-status Report
Exploration of the pathogenicity of human intestinal spirochetosis
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18K07034
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
緒方 衝 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 臨床検査医学, 准教授 (00531435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 邦昭 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 検査部, 教授 (60523115) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒト腸管スピロヘータ症 / 免疫組織化学 / ブラキスピラ |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト腸管スピロヘータ症(HIS)の病態解析の解析を進めた。2019年度中、研究計画③ブラキスピラの粘膜侵入経路の検討に関して、検討がすすんだ。HIS症例の手術材料を用いた検討では、ヘマトキシリンエオシン染色で認識できる粘膜表層上皮部分のみではなく、付着粘液中、また粘膜固有層部分の間質成分内、またリンパ濾胞内にHISの存在が窺われた。さらに大腸壁外のリンパ節中にもわずかであるが、免疫組織化学的に抗体陽性物質の出現がみられた。これらの所見からブラキスピラは表層上皮間ないしは杯細胞部分を粘膜侵入経路として粘膜固有層に浸潤し、基本的に粘膜固有層に留まるものの、その抗原の一部はリンパ系を介して所属リンパ節へと輸送されている可能性が示唆された。またこの過程で、侵入するブラキスピラのほとんどが表層上皮直下に存在するマクロファージに貪食される像がみられ、この過程から抗原提示、抗体作成へとつながっている可能性も考えられた。この知見はVirchows Archiv誌に受理された(in press).また、HISの生検検体で炎症性粘膜と評価された材料を用いて、粘膜固有層での好酸球・好中球・マスト細胞、上皮層での好酸球と好中球の出現を評価したところ、好酸球浸潤が目立ってみられた。いわゆるフリンジ形成の程度、上皮層内へのブラキスピラ侵入、陰窩粘液中のブラキスピラの存在の程度との間に、上皮層内の好酸球・好中球が一部関連が認められた。この結果は、翌年度日本病理学会総会の発表予定であるとともに、英文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者の退官とともに学内環境の変化、また学会参加機会の減少もあったが、当初研究計画①-④のうち、①③に関しては成果が得られ、さらなる成果が期待できる。②通常型腺腫や鋸歯状ポリープとの関連、に関しては該当症例の蓄積を進めている。また④ Sentinel goblet cellとの関連、に関しては予備実験済みであることからは、②④ともに今後の進捗が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って、順次進めていく方針である。
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Causes of Carryover |
今年度は研究分担者の退官、学内環境の変化、学会参加機会の減少があり、新たな研究資材の購入や学会参加費用の支出がなかった。次年度においても、コロナウイルスによる学会縮小等、状況の変化の可能性もあるが、抗体や遺伝子解析用試薬等々の購入を中心として研究資金を使用しつつ、さらなる研究活動の推進を図っていきたい。
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