2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on pathological indicator to predict response of cancer immune therapy
Project/Area Number |
18K07036
|
Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
元井 紀子 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 病院 病理診断科, 医長 (70292878)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 病理形態学 / 予後予測指標 / デジタル病理学 / がん免疫環境 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、がんの最適医療のために必要な病理学的指標の確立である。肺癌は、個別化医療が進みTKI, ICIなどの薬剤は患者に大きな恩恵をもたらしているものの、治療方針の最適化のためには、がんの個性を読み解き、適した治療を選択する指標(バイオマーカー)を確立する必要がある。ICIのバイオマーカーとしてはPD-L1が普及しているが、その性能は不十分で、より精度の高いバイオマーカーの探索と確立は喫緊の課題である。 本研究では、ICIに対する病理学的予測指標を探索し、その意義を検討した。(1)ICI治療を受けた肺がんの病理検体の特徴を検討し、病理形態学的な指標(核異型度、炎症の程度)が予後予測指標となることを見出した。病理医の目視評価を客観化するために、HE染色標本のデジタル画像を作成し、がん細胞の形態学的特徴量(MBM)を画像解析により定量化した。MBMは決定木法モデルで妥当な性能があり、症例を増やして深層学習(DNN)を行ったところ、DNN-MBMは従来のバイオマーカーであるPD-L1を超える治療効果および予後予測性能を示した。(2)生物学的意義を検討するために、がんのMBMと腫瘍浸潤免疫細胞(TIL)、ゲノム情報、臨床情報との関連性を統計学的に解析した。MBMは、遺伝子変異、TMBと中等度に関連、PD-L1 IHCと弱く関連した。MBMは全例で解析可能であり、TMB, PD-L1と比して解析成功率が高く、より多くの症例で指標を提供できることが示唆された。(3)非小細胞癌、小細胞癌の免疫染色によるTIL検討の結果、CD8陽性Tリンパ球の腫瘍内への浸潤は予後、ICIの治療効果との関連が明らかとなった。 以上より、非小細胞肺癌では、腫瘍組織の病理学的特徴は、客観的に抽出可能な因子であり、PD-L1とは独立しており、実臨床に応用可能な新規バイオマーカーとして有望といえる。
|
Research Products
(14 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 進行/再発肺大細胞神経内分泌癌における,Pd-1阻害剤の効果と腫瘍免疫微小環境との関連についての検討2021
Author(s)
白澤 昌之, 吉田 達哉, 関根 克敏, 神田 慎太郎, 松元 祐司, 増田 健, 新野 祐樹, 大熊 裕介, 後藤 悌, 堀之内 秀仁, 山本 昇, 渡辺 俊一, 元井 紀子, 大江 裕一郎
Organizer
第62回日本肺癌学会学術集会
-
[Presentation] IV期原発性肺癌に対してPembrolizumab治療後にsalvage手術を施行した1例2021
Author(s)
藤川 遼, 吉田 幸弘, 四倉 正也, 中川 加寿夫, 渡辺 俊一, 加島 淳平, 元井 紀子, 谷田部 恭, 新野 祐樹, 大江 裕一郎, 土田 敬明, 渡辺 裕一, 楠本 昌彦.
Organizer
第62回日本肺癌学会学術集会
-
[Presentation] 進行期NSCLCにおける悪液質の病態およびPembrolizumab治療効果の関係2021
Author(s)
徐 仁美, 吉田 達哉, 柳下 薫寛, 堀之内 秀仁, 松元 祐司, 新野 祐樹, 大熊 裕介, 後藤 悌, 山本 昇, 元井 紀子, 大江 裕一郎
Organizer
第62回日本肺癌学会学術集会