2018 Fiscal Year Research-status Report
Role of lysosome-resident amino acid transporters in inflammatory response
Project/Area Number |
18K07056
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
小林 俊彦 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 副プロジェクト長 (40613203)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リソソーム / 炎症応答 / 免疫 / トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、リソソーム局在アミノ酸トランスポーターSLC15A3を介した新規炎症シグナルの制御機構、および慢性炎症疾患の病態制御における役割の解明を目的として行っている。本年度は(1) SLC15A3による炎症制御機構の解析、(2)炎症応答におけるSLC15A3発現細胞の同定について解析を進め、(3) SLC15A3会合分子の探索について解析の準備を進めた。(1) SLC15A3による炎症制御機構の解析:TMPDの腹腔内投与によってもたらされるびまん性肺出血と貧血を伴う持続的な炎症モデルにおいて、SLC15A3欠損マウスでは、TMPDによって誘導される肺出血の病態が著しく改善されることを見出し、それに伴って肺胞洗浄液中のIL-10量が増加、IL-6量が低下していることが明らかとなった。(2) 炎症応答におけるSLC15A3発現細胞の同定:TMPD投与によって腹腔内に浸潤してくる炎症細胞のうち炎症性単球や好中球においてSlc15a3が高い発現をしていることが明らかとなった。そこで、抗Gr-1抗体投与による好中球の除去を試みた結果、炎症病態の改善は認められなかった。(3) SLC15A3会合分子の探索:免疫沈降法によってSLC15A3およびSLC15A4と共沈するタンパク質の同定を試みていたが、技術的な問題により目的タンパク質の同定には至らなかった。現在ビオチンタグ法(Bio-ID法)を改良した手法を用いてSLC15A3近隣分子を網羅的に同定するための細胞の樹立を完了し、共同研究による質量分析(LC-MS/MS)による会合分子の同定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、炎症応答におけるSLC15A3の役割の解析を中心に行ってきた。TMPDの腹腔内投与によってもたらされるびまん性肺出血と貧血を伴う持続的な炎症モデルにおいて、SLC15A3欠損マウスでは、TMPDによって誘導される肺出血の病態が著しく改善されることを見出した。これらの成果をまとめ、学会発表(国内)を行った。SLC15A3会合分子の同定については非特異的な分子の除外方法の樹立に時間がかかったが、準備が整ったため、Bio-ID法の予備解析を進めている状況にある。次年度は早い時期での会合分子の同定が期待される。 また抗SLC15A3モノクローナル抗体の樹立については、免疫のための抗原作成と細胞樹立を行っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
TMPD炎症モデルにおいて炎症部位に浸潤するSlc15a3陽性の細胞種のうち、好中球以外の細胞種についても細胞種特異的な抗体の投与による除去を行い、炎症病態の改善/増悪を解析することで責任細胞を絞り込んでいく。また、他の炎症・疾患モデルを用いて炎症の惹起あるいは収束におけるSLC15A3の役割を検証していく。SLC15A3依存的な炎症制御因子の探索を目的としたSLC15A3会合分子の探索については、非特異的会合分子の確実な排除のためにBio-ID法コントロールを改良した上で再解析を試みる。細胞準備を進めつつ、Bio-ID法の予備解析を進めている状況にある。解析ツールとしての抗SLC15A3抗体樹立についても随時KOマウスに免疫を行い、本年度中のクローン獲得を目指す。個体の病態形成におけるSLC15A3の役割が明らかとなってきたため、今後SLC15A3による病態形成のメカニズムについて論文化を進めたい。
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