2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K07057
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
上野 瞳 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児血液・腫瘍研究部, 研究員 (30435630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 修治 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, 部長 (20382856)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小児腫瘍 / ゲノム編集 / Bcor |
Outline of Annual Research Achievements |
BCOR遺伝子内の縦列重複変異(BCOR-ITD)は、研究代表者らが小児の腎腫瘍である腎明細胞肉腫から初めて発見した変異である。現在BCOR-ITD陽性腫瘍は、小児腎腫瘍のみならず、他の小児固形腫瘍や一部の成人腫瘍においても発見されつつある。BCOR-ITD変異陽性腫瘍は、他の遺伝子変異が非常に少ない特徴があり、BCOR-ITDが腫瘍形成におけるドライバー因子である可能性が高い。そこで、本研究では、変異モデルの作出・特性解析を試み、治療薬開発へと繋げることを目指す。 平成30年度は、研究分担者と共にゲノム編集によるBcor-ITDマウスの作出を行った。ドナー配列は、ヒト腎明細胞肉腫で発見した配列と同様の重複パターンになるようにマウスのゲノム配列で作成した。BDF1マウスの受精卵の核に、マイクロインジェクションにより、gRNA, Cas9, ドナーベクターを注入し、モザイクマウスの作成を試みた。 Bcor遺伝子は発生に重要な遺伝子であり、遺伝子の完全なノックアウトは胎生致死となることが知られているが、Bcor-ITD変異が発生にどのような影響をもたらすかは、まだ不明である。そのため、様々な条件でインジェクションを行い、Bcor-ITD変異を有するメスのモザイクマウスを得ることに成功した。メスのBcor-ITDモザイクマウスとC57BL/6マウスの交配により、F1マウスを得る事にも成功している。しかしながら、Bcor-ITDモザイクマウスとF1マウスは共に、妊娠率・出産率が低い傾向が認められ、現段階で繁殖・系統維持に困難をきたしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたゲノム編集によるBcor-ITD変異マウスの作出に成功した。しかし、繁殖に困難をきたしており、今後は細胞樹立を優先する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りに計画を推進するが、繁殖・系統維持が困難な状況にあるため、胎仔からの細胞株の樹立を優先する。可能であれば、受精卵からES細胞の樹立も試みる。
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Causes of Carryover |
作出したマウスの繁殖力が弱いため、飼育費が予定よりも少額であったため。また、人件費の支出がなかったため。 次年度使用分については、ES細胞の樹立や特性解析のための試薬代として使用する。 翌年度請求分は、当初の予定通りに使用する。
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