2019 Fiscal Year Research-status Report
癌特異的代謝を介し増悪化に寄与するGPCR OR7C1の作用機序解明と治療応用
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18K07060
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武井 則雄 北海道大学, 医学研究院, 助教 (50523461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 明伸 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30438048)
桜井 敬之 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (80317825)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | GPCR / CRISPR/Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
OR7C1はG Protein coupled receptor (GPCR)ファミリーに属する嗅受容体の一つであり、これまでに既知の報告として癌幹細胞に発現し、がん患者検体の発現と予後に相関が見られるなどの報告があることから、癌増悪化に寄与している可能性が考えられる。 また、OR7C1は分子としても機能未知のオーファン受容体である事から、本分子の機能を明らかにすることは生物学的にも重要である。 これまでに申請者らは、癌におけるOR7C1の機能を明らかにすることを目的として、ゲノム編集技術を用いたOR7C1遺伝子欠損癌細胞株を樹立し、それを用いて表現型を解析する事で、機能解明を試みており、OR7C1 KO癌細胞株では、in vivoでは腫瘍形成能および転移能が抑制され、そのメカニズム解析の過程で、in vitroにおける特定の栄養環境下においてOR7C1遺伝子が亢進、KO細胞株では増殖が抑制される事からOR7C1が癌の生物学においてエネルギー代謝に重要な役割を果たしている事が示唆されている。 本研究では、どの様な作用機序でOR7C1が癌のエネルギー代謝に寄与しているのかを明らかにすることを目的として、引き続きOR7C1欠損細胞株と野生型細胞株を用いて、生化学、分子生物学的な比較解析を行うと共に、個体としてのOR7C1の役割を明らかにすることを目的として、マウスを用いてOR7C1 KOマウスを作成し、発生を含めた表現型の解析を行う事で、OR7C1分子の生物学的意義の解明を行っている。 これらの結果を踏まえ、OR7C1の癌の生物学における意義、機能を明らかとし、OR7C1分子を標的とした、新規治療・診断法開発へ向けた可能性を検証する事で臨床応用へとつながる知見を得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に続き、OR7C1のmouse homologのKOマウス作製をゲノム編集技術であるCRISPR/Cas9 systemを用いて行った。得られたfounderの中から2系統を選別し、back crossによるoff target effectの除去、さらにはhomo系統の樹立を完了した為、今後それらの系統を用いた表現型のを実施予定である
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はKOマウスの個体発生および、生化学、血液学的な解析を含めた表現型の解析を中心に行うと共に、KO細胞株を用いた機能解析も引き続き進めていく予定である。 さらに既に得られている結果の再現性、信頼性を高める事を目的として、マウス癌細胞株を用いたKO株の樹立とそれを用いた解析、並びにsiRNAなどの低分子化合物を用いた治療標的としての可能性の検証も実施予定である。
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Causes of Carryover |
in vitroでの解析に用いる遺伝子解析用試薬と冷却遠心機ならびに本成果経過の学会発表などを次年度に持ち越した事から次年度使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)