2020 Fiscal Year Annual Research Report
Induction of novel cell death focusing on the regulation of selenoprotein gene expression in refractory cancer
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18K07063
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山本 浩平 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50451927)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん / 治療戦略 / 脂質 / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
GPX4をはじめとするセレノプロテインはヒトでは25種類ほど存在し、セレノシステインという特殊なアミノ酸を挿入することにより酸化ストレスなどの対するレドックス活性を示す。これらのタンパクの翻訳にはmRNAの3'UTRに存在するSECIS配列が必要であり、さらにこの配列に特異的に結合するSECIS binding protein 2(SECISBP2)の存在下でセレノシステインの適切な翻訳が成立する。前年度までの研究において、GPX4をコードするmRNAの3’UTRに対し、CRISPR-Cas9を用いた遺伝子編集技術でSECIS配列をノックアウトしたところ、GPX4の発現の減少とともに、抗酸化剤未添加下における細胞死誘導と細胞増殖の抑制効果が得られた。本年度はこの現象のメカニズムの詳細を確認するとともに、SECISBP2の発現が腫瘍組織内での発現とその意義について検討を行った。GPX4のSECIS配列のノックアウトによりGPX4のタンパクの減少がみられたが、この細胞におけるGPX4のmRNAを計測したところ、コントロール細胞に比べmRNAレベルの発現量が1/10程度に減少しnonsense-mediated decay がmRNA発現の調節に関与することが示唆された。悪性リンパ腫組織におけるSECISBP2のタンパクレベルでの過剰発現は予後不良予測因子となり、さらに下流のGPX4やTXNRD1などのタンパク発現と相関が示された。さらにSECISBP2ノックアウト細胞ではGPX4よびTXNRD1のタンパクレベルでの発現低下と細胞死誘導の増強が認められた。これらの結果から、SECIS配列に結合するSECISBP2の制御は有望な抗腫瘍戦略となりうることが示唆された。
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