2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on pathogenesis and development of therapies for cardiac failure using dystrophin-deficient-cardiomyocytes derived from DMD patients
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18K07064
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宮崎 大吾 信州大学, 医学部附属病院, 講師(特定雇用) (80596370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 昭則 信州大学, 医学部, 特任教授 (10303471)
柴 直子 信州大学, 医学部, 助教 (00639289)
柴 祐司 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (70613503)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | デュシェンヌ型筋ジストロフィー / 心筋細胞 / 心不全 / IGF2 |
Outline of Annual Research Achievements |
DMD遺伝子にエクソン46-55欠失を有するデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者よりiPS心筋細胞(DMD-iPSC-CMs)を作成した。このDMD-iPSC-CMsと健常者由来Control-iPSC-CMsに遅対してマイクロアレイ解析とqPCR解析による比較検討を行って細胞増殖や再生に関与する複数の候補遺伝子を見出した。さらにDMD-iPSC-CMsに対しエクソン45スキップを行ってジストロフィンタンパク回復を誘導すると、上記候補遺伝子の中でも特にIGF2とTMSB4Xの遺伝子発現が回復しており、これらの遺伝子発現低下はDMDにおける心筋障害の進展に関与している可能性を考えた。 IGF2とTMSB4Xに対するsiRNAを用いた遺伝子ノックダウン研究として、HEK293細胞と健常者由来のiPS心筋細胞に対してIGF2, TMSB4Xそれぞれに対するsiRNAを投与した。HEK293細胞とiPS心筋ともに対象の遺伝子発現は85-90%程度抑制されており良好な結果であった。 HEK293細胞ではTMSB4Xの遺伝子抑制に伴ってIGF2の発現低下が確認され、TMSB4XはIGF2の発現を調整する可能性が示唆されたものの、iPS心筋細胞においてはTMSB4XとIGF2の明らかな関連が確認できず現時点ではTMBS4X低下がどのように心筋障害へ関与するかについてはっきりと示すことはできなかった。 これに対し、IGF2に関しては遺伝子発現抑制によりiPS心筋細胞の萎縮を認め、IGF1の発現も抑制されることが確認された。IGF1とIGF2は共通の受容体IGF1Rを介しErkシグナル伝達を活性化して心筋壁肥厚に影響が考えられている。DMD患者由来の心筋細胞でのIGF2遺伝子発現の低下は、DMD患者の拡張型心筋症の病態において心筋壁の菲薄化に悪影響を与える可能性が示唆された。
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