2020 Fiscal Year Annual Research Report
Cell therapy for Pompe disease using iPSC-derived muscle stem cells
Project/Area Number |
18K07067
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 英俊 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (80528745)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Pompe病 / 遺伝子治療 / 細胞移植治療 / 骨格筋幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポンぺ病は酸性alpha glucosidase(GAA)の変異により、ライソゾーム内にグリコーゲンが異常蓄積し、心筋・肝臓・骨格筋などに障害を来す疾患である。2006年より実施された酵素補充療法により心筋・肝臓の症状は劇的に改善されたが、骨格筋症状の改善は乏しく、生命は維持できるものの呼吸筋機能不全のため人工呼吸器管理が必要となる場合が多い。 そこで本研究では、ポンペ病患者由来iPS細胞にGAAを強制発現することで遺伝子治療を施し、その細胞から骨格筋幹細胞を分化誘導し移植することで、筋再生と同時に強制発現されたGAAが補充され、酵素補充療法としても効果があるかどうかを検証した。その結果、GAAの安定発現により分化筋細胞内のライソゾーム肥大が減弱しグリコーゲン量が減少しており、In vitroでの治療効果は確認された。続いて患者株、健常人株、患者株にGAA遺伝子を安定発現させた株の3種のiPS細胞から骨格筋幹細胞を分化誘導し、CD82陽性細胞で現わされる骨格筋幹細胞が10%以上誘導できていることを確認した。それらの細胞を免疫不全ポンペ病モデルマウスの前脛骨筋に移植し、4週後に安楽死の後組織学的に評価した。患者株由来の細胞を移植したマウスでは、ヒト細胞の生着は認めるもののライソゾーム肥大には変化がなく、予想通り治療効果がなかった。次に健常人細胞を移植したマウスでは、ヒト細胞が生着した筋線維でライソゾーム肥大が消失しており、細胞補充による治療効果が認められた。さらにGAA安定発現患者細胞では、生着部位でのライソゾーム肥大の消失はもちろん、その周辺の筋線維までライソゾーム肥大が消失していた。このことは、移植された細胞から産生されたGAAがエクソソームなどにより周辺に放出されて、周辺の筋線維で取り込まれて治療効果が得られたことを示唆する。本研究のコンセプトは証明されたと考える。
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Research Products
(1 results)