2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K07074
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
新井田 素子 杏林大学, 保健学部, 教授 (40385381)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 成体脳 / 神経幹細胞 / 神経前駆細胞 / TGF-β / Smad4 / 神経細胞 / 神経細胞分化 / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
成体脳での神経幹細胞や前駆細胞におけるTGF-b及びBMPシグナル伝達の機構を解明するために、TGF-b、BMPをシグナル伝達の主要介在分子であるSmad4を神経前駆細胞選択的に欠損させたマウス(Smad4 CKOマウス)を飼育し、解析を行った。 Smad4CKOマウスは加齢に比例し、大脳皮質が菲薄化し、成熟神経細胞に発現する細胞マーカーNeuNの細胞数が大脳皮質や嗅皮質で少なく、また、ニューロフィラメントの画像解析では、シグナル陽性面積が低下していた。また、オリゴデンドロサイトの成熟マーカーであるミエリンベーシックプロテインも野生型と比較して陽性面積が低下しており、これがSmad4CKOマウスの成熟神経細胞現象の結果であることが考えられた。アポトーシス解析におけるTUNEL染色では嗅皮質において野生型と比較して、陽性細胞が増加していた。また、分裂しながら分化していく神経前駆細胞のBrdU陽性細胞は野生型ではオリゴデンドロサイトに分化したが、Smad4CKOマウスでは、オリゴデンドロサイトには分化せず、sox2などの未熟分化細胞のマーカーを発現し、主に視床に分散していた。 詳細な分化を解析するために、neurosphereの初代培養を作成した。作成に使用したマウスのジェノタイピングを行うことにより、neurosphereを形成する細胞がSmad4を欠損したCKO細胞かどうかを決定した。血清添加した主にアストロサイトに分化する系および血清およびレチノイン酸を添加した主に神経細胞に分化する系の接着条件での培養を行い、各種の分化段階を評価した。蛍光免疫細胞染色を行った結果、いずれの条件下でもSmad4のCKO細胞は成熟アストロサイトにも神経細胞にも分化する細胞数が減少していた。このことはSmad4が神経細胞だけではなく、幹細胞から脳内細胞の分化に必要であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
R1-2年度において、所属していた東京女子医大では、実験動物施設及び研究実験施設の大規模な移転が行われている。特に実験動物施設では、移転に際し、実験動物を受精卵で移動させたため、固体に戻すのに時間がかかり実験に滞りが生じた。また、同様に研究実験動物施設移転に伴い、環境が整ったのは、R2年度の夏である。また、covid19に関して、子 供の学校が休校になる期間が長く頻繁に生じ、その間の実験が停滞している。R3年度に東京女子医大から杏林大学に転職した。ラボセットアップや手続きがかかったことで本格的に実験が再開できたのは、R3年の夏である。それ以降は大きなトラブルもなく実験が再開されている。
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Strategy for Future Research Activity |
R3年度に杏林大学に移動したが東京女子医大では非常勤講師であり、杏林大学でのラボセットアップも終了した。実験の継続には問題ない状況である。 covid19の感染状況により、出来るだけ集中して実験可能な時は行い、濃厚接触などの行動制限がかかった際は論文執筆やデータ整理などを調整し行う。
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Causes of Carryover |
現在中間データを作成している。論文執筆しているため、追加実験が要求された場合には次年度使用額から支出する計画である。
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