2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of liver regeneration through cell-cell interaction and identification of origin of regenerated hepatocytes
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18K07079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 亨 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50334280)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞外膜小胞 / 肝再生 / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
肝臓形成の初期段階でmRNA分解機構が抑制される遺伝子改変を施したマウスは、生後8週程度で重度の肝機能障害、肝炎、貧血等の症状を示す。その後、生後12週程度まで成長すると肝臓の病理組織像は正常に近いもの回復することを観察してきた。前年度までの、蛍光標識した非肝細胞の動向を追跡する解析から、非肝細胞が肝細胞に転換して正常な肝臓組織を再構築している可能性を見出した。 細胞は核酸、タンパク質、脂質等の細胞内成分を含む膜小胞を細胞外へ排出する。その細胞外膜小胞は、内部成分の細胞間受け渡しの手段として注目が集まっており、実際に癌の周辺微小環境制御や細胞の分化誘導などに関与することが明らかになってきている。肝機能障害から回復する過程において、マウスに細胞外膜小胞の放出を抑制する化合物を投与したところ、非肝細胞が肝細胞に転換する割合が減少することを見出した。化合物を投与しない群と比較して、肝障害からの回復も弱い傾向にあった。この結果は、細胞外膜成小胞が非肝細胞から肝細胞への転換に関与することを示唆していると考えた。そこで、遺伝子改変マウスの血漿エクソソーム内のマイクロRNAシークエンス解析を行った。遺伝子改変マウスの血漿エクソソーム内では、特定のマイクロRNAが非常に多く含まれていることが分かり、定量PCRによる検証でも確認された。そのマイクロRNAが標的とする因子群のgene ontology解析を行うと、様々な組織の形成を誘導する因子が多く含まれていることが分かった。同定されたマイクロRNAが、非肝細胞から肝細胞への変換を誘導している可能性を検討するため、マイクロRNAを発現するレンチウイルスベクターを作製し、胆管上皮細胞にマイクロRNAを発現させて肝細胞誘導に対する効果を調べる実験の構築を始めた。培養条件の改善と、複数のマイクロRNAの組み合わせの検討を進める。
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