2018 Fiscal Year Research-status Report
転写因子の標的遺伝子解析によるマラリア原虫メロゾイトの侵入機構の解明
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18K07084
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
新澤 直明 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (10583015)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | メロゾイト / 侵入 / 次世代シークエンサー / ChIP-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリア原虫のメロゾイトによる赤血球への侵入は、感染赤血球からの脱出、新しい赤血球への接着、先端部の方向転換、寄生胞を伴った侵入、侵入後のステージ転換などのステップからなる複雑な現象である。本研究では、メロゾイト形成に関わる転写因子の標的遺伝子解析から侵入機構の全貌を明らかにすることを目的とする。申請者は、これまでにネズミマラリア原虫P. bergheiのCRISPR/Cas9を開発し、メロゾイト形成に関わる転写因子PbAP2MのGFP融合遺伝子発現原虫(PbAP2M-GFP)の作製を行い、発現解析やChIP-qPCR解析を行ってきた。 本年度は、PbAP2M-GFPを用いたChIP-seq解析を行った。シゾント期のクロマチンDNAを回収し抗GFP抗体を用いたクロマチン免疫沈降を行い、得られたDNAを用いて次世代シークエンサー解析を行った。その結果、226の標的遺伝子を得た。この中には、これまでに同定されたロプトリー遺伝子群やモーター複合体遺伝子群などの侵入関連遺伝子、メロゾイト表面タンパク質であるMSPファミリー分子が多数含まれていた。一方で、小胞輸送に関わるSNAREタンパク質や細胞骨格に関わるタンパク質も含まれていることからメロゾイト形成あるいはメロゾイトの機能にこれらのタンパク質が関わっている可能性が示唆された。 以上のことから、メロゾイト形成に関わる転写因子のChIP-seq解析は、メロゾイトによる侵入に関わる遺伝子群の同定が可能な強力な手法であることが明らかになった。これら転写因子標的遺伝子群には機能未知遺伝子も多数含まれていたことから、これらの解析を進めることで侵入機構に関わる遺伝子の網羅的解析が可能になると予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主要な目的としていたChIP-seq解析を終了することができたため、順調に研究は進んでいると考えられる。次年度以降の研究計画に支障はない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度のChIP-seq解析を元にして、ネズミマラリア原虫でのメロゾイト形成に関わる新規分子の解析を進めていく。また、熱帯熱マラリア原虫でのメロゾイト形成との比較解析を行うため、熱帯熱マラリア原虫におけるオルソログ遺伝子のGFP融合遺伝子発現株の作製を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
次世代シークエンサー受託費が申請当初の見積額を大きく下回った。また、購入予定だったフルオロメーターは他予算によって購入したために、物品費に残額が生じた。次年度はマラリア原虫変異体を多数作製するために、マウス購入費や培養試薬費や分子生物学試薬費に多数の予算を費やす予定である。
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Research Products
(3 results)