2021 Fiscal Year Research-status Report
Revalidation of zoonotic potential of Blastocystis based on the DNA samples obtained from endemic area of fecal-oral infection.
Project/Area Number |
18K07085
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
吉川 尚男 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (50191557)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ブラストシスチス / 疫学調査 / 人獣共通感染性 / 分子生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
インドネシア・スンバ島のワインヤップ地域の10家族の住民から提供された糞便材料と家畜動物、特にブタ・ニワトリ・ヤギ・水牛から糞便材料を採取し、糞便から直接抽出したDNA材料を使い、ブラストシスチスの人獣共通感染性について評価を行った。 PCR増幅の有無により住民の約45%、家畜のブタ・ヤギからは約85%、ニワトリからは約60%と高率にブラストシスチスが検出されたが、水牛からは検出されなかった。 人獣共通感染性については、カラム型DNA抽出キットを使い、同一カラムから連続3回抽出を行い、糞便内に含まれるブラストシスチスを半定量的に評価した。すなわち、さまざまなサブタイプ(ST)に重複感染していても、個々のSTを特異的に増幅できる本研究室で開発したST特異的PCRプライマーを用いて、個々の抽出DNAに含まれるSTをPCR増幅し、糞便内に含まれるブラストシスチスの量を把握した。 その結果、住民の体内でブラストシスチスが増殖していると判断できたのは、ST1, ST2, ST3であった。一方、家畜動物の体内でブラストシスチスが増殖していると判断できたのは、ブタでST5、ヤギでST1, ST5、ニワトリでST6, ST7であり、ST1のみが住民とヤギの両方でブラストシスチスが増殖していると判断できた。このST1について、特異的プライマーで増幅される約1200bpの塩基配列を解読して両者を比較したところ、二種類の遺伝的に異なるブラストシスチスの存在が明らかとなった。個々の住民からは片一方のブラストシスチスのみしか検出されなかったが、ヤギの半数からは両方の異なるブラストシスチスが検出された。この結果は、ヒト由来のST1のブラストシスチスがヤギに感染しうることを示していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナがまん延していたために、研究の機会が少なくなり、成果を得るために時間がかかってしまったが、ほとんどのDNA材料のPCR増幅とその産物の塩基配列の解読が済んでおり、今後は、解読した塩基配列のアライメントと解析作業である。
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Strategy for Future Research Activity |
ほとんどの結果が出ており、成果の論文を作成し、投稿準備を進めている。
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