2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of new antimalarial trandermal agent
Project/Area Number |
18K07086
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金 惠淑 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (70314664)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マラリア / 非経口剤 / 軟膏製剤 / 製剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 親水クリム基剤を用いてN-89及びN-251経皮吸収型製剤(軟こう型外用製剤)を調製し、ネズミマラリア原虫感染マラリアモデルにおいてその抗マラリア効果を評価した。昨年度まではPEG (8:1)製剤で塗布面積を6~8cm2で検討したが、今年度は親水クリムを用いることでさらにマウス1匹当り4cm2の塗布面積(N-89含有量:1.5%)まで減らすことができた。同条件で4-day suppressive test の結果、ED50値、ED90値はそれぞれ、 18 mg/kg、50 mg/kg となり、従来の塗布面積と同等あるいはそれ以上の抗マラリア薬効を示すことが判った。 2. 新スクリム基剤で混合したN-89を投与量60 mg/kg (4cm2の塗布面積)で単回塗布し、経時的に血漿中濃度をLC-MS/MSにより測定したところ、N-89 のTmaxは2 hr、T1/2 は3.1 hrとなった。CmaxとAUCはそれぞれ 85 ng/mLと 513 ng/mL・hr になり、抗マラリア効果を示す濃度(6.8 ng/mL)より高い濃度を12 hr維持し、PEG (8:1) 基剤と同様の動態解析結果を示した。 3. 重症マラリア患者を想定した実験モデルとして、感染率0.2% のネズミマラリア原虫感染マウスに親水クリムのN-89製剤60 mg/kgを1日2回、4日間経皮投与して感染率の推移を調べた結果、N-89クリーム製剤を塗布した実験群は塗布開始から感染率が低下し、塗布3日目でマウスの血中からマラリア原虫は完全に消失し、30日までに再燃や皮膚のトラブル等が生じないことから、従来のPEG 製剤と同様に親水クリム製剤も環状過酸化物の配合剤として使用可能であると考えられる。 4. べトナム産天然資源由来の抽出物より抗マラリア効果を示す結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初の計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. PEG基剤や親水クリム基剤の体内動態解析に関連する測定法を検討する。従来の過酸化物の測定法はPEGでは問題ないことを確認しているが、今後、新しい形態として繊維状の綿に環状過酸化物+PEG 400 配合、あるいは環状過酸化物+脂肪酸を滴下し、環状過酸化物の動態解析を行う。他の配合条件として繊維状の綿の種類を変えて同様の実験を行い、その結果を基に最適の配合基剤を選抜する。環状過酸化物の測定条件も配合条件に合わせ、溶媒や溶媒の配合比の検討、流速など検出側のパラメーターを最適化する。 2. 天然資源由来の粗抽出物(べトナム産のお茶由来)を用いた抗マラリア薬効を検討する。予備研究により抗マラリア薬効を示すことは判っているが、動物においても同様の薬効を示すかどうかをマウスマラリアモデルを用いて評価する。また、お茶成分に脂肪酸を配合する等、他の成分との配合による抗マラリア薬効の増強、予防効果等についても解析し、成分の同定を通して食品等で使われる成分が抗マラリア薬候補として利用できるかを明らかにする。 3. 環状過酸化物と既存抗マラリア薬の併用した配合剤を用いて軟膏製剤としてより抗マラリア薬効を増強させるパートナー製剤を検討し、臨床に使用することを想定した新規抗マラリア薬候補を選抜する。
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Causes of Carryover |
海外渡航費用として使用する計画であったが、感染症の影響により渡航ができなくなったため、残予算が生じた。次年度に残予算を含めて研究遂行にすべて使用する計画である。
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