2019 Fiscal Year Research-status Report
Intracellular localization of sulfolipids in Entamoeba
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18K07087
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
見市 文香 (三田村文香) 佐賀大学, 医学部, 講師 (70576818)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 含硫脂質 / 輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤痢アメーバはヒトの大腸に感染し、アメーバ赤痢を引き起こす寄生原虫である。我々は赤痢アメーバの硫酸代謝に着目した研究を行っている。硫酸代謝は生物界に普遍的に存在、様々な硫酸化分子を提供する重要な代謝経路である。これまでの我々の研究から、赤痢アメーバの硫酸代謝が含硫脂質代謝に特化し、コレステロール硫酸を含む6種類の含硫脂質が合成されること、コレステロール硫酸がステージ移行であるシスト形成制御に必須な分子であること、栄養体の増殖に必須な含硫脂質が含まれていることを見出した。つまり赤痢アメーバの含硫脂質代謝は、生活環を通じて重要な代謝経路である。しかしながら、代謝系酵素群の各基質、ならびに代謝中間体となる各産物の輸送については、未解明な点が多い。本研究では、含硫脂質代謝に必須な基質および代謝産物の輸送を担う輸送体群に着目、それらの同定および特徴を明確化することを目的として研究を開始した。 赤痢アメーバの全ゲノムデーターベース探索によって得た輸送体候補遺伝子28個について、各遺伝子の発現抑制株を作製後、機能解析を行った。28種類の遺伝子発現抑制株のうち、13種類の株は顕著な増殖阻害を示し、継代培養として維持することが出来なかった。残り15種類の株について、放射性無機硫酸を用いた代謝ラベル実験により、含硫脂質代謝産物の蓄積量に与える影響を解析したが、コントロール株に比べて顕著な合成阻害や異常蓄積が見られる株は得られなかった。この結果について、現在2つの可能性を考えている。(1)これらの遺伝子は冗長遺伝子でるため、機能相補が起こった可能性、(2)含硫脂質の輸送には候補とした輸送体群とは全く別の輸送体が関わる可能性であり、現在別方法でのアプローチを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
赤痢アメーバの全ゲノムデーターベース探索によって得た輸送体候補遺伝子28個について、各遺伝子の発現抑制株の作製に成功した。しかし、機能解析の結果、含硫脂質代謝に関わると結論することが出来る候補を得る事は出来なかった。現在、考えられる問題点を解消すべく遺伝子強制発現株、および近年我々が確立した手法(Mi-ichi et al, Mol Microbiol, 2017)による複数遺伝子を同時に発現抑制した株の取得を継続している。取得後の解析により目的とする候補遺伝子の探索を進める。一方、[計画4] で予定していた含硫脂質の同定については、本年度に構造決定に成功した(見市、未発表)。以上の事から当初の計画通りおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
[計画1-1] これまでに解析した輸送体候補遺伝子のうち、各遺伝子の発現抑制株が増殖阻害を示したことにより、詳細な解析ができなかった13種類の輸送体候補について。1) 個々の輸送体候補遺伝子の強制発現株を作製、その表現型の解析を行う。 [計画1-2] 今回、遺伝子発現抑制株が取得できたが、含硫脂質の合成の顕著な阻害、もしくは異常な蓄積が観察されなかった輸送体候補遺伝子の中で、冗長遺伝子による機能相補のため表現型が出なかった可能性がある輸送体群について。1) 遺伝子強制発現株を作製、その表現型の解析を行う。2) 複数遺伝子を同時に発現抑制する株を作製、その表現型の解析を行う [計画1-3] 今回標的とした輸送体群が含硫脂質関連輸送体ではない可能性を考慮。1) ゲノム情報解析による別の輸送体候補分子の探索。2)得られた候補分子について、遺伝子発現抑制株および遺伝子強制発現株を作製し、放射ラベルされた硫酸を用いた代謝ラベル実験により、含硫脂質の合成・蓄積に与える影響を解析する。そして、コントロール株に比べて、含硫脂質の顕著な合成阻害、もしくは異常蓄積が見られた株を選択、標的遺伝子が抑制、もしくは上昇しているかを確認する。 [計画2] 輸送体候補分子の分子細胞生物学的解析⇒遺伝子発現様式、局在の解析 [計画3] 輸送体候補組換え蛋白質による生化学的解析⇒硫酸、脂質、含硫脂質の輸送能、輸送様式の解析
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Causes of Carryover |
(理由) 予定していた物品の購入が次年度になったこと、実験計画の一部変更により予定していた実験を次年度行うこととなり、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 培養器具や分子生物学実験用試薬などの購入を予定している。
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Research Products
(8 results)