2023 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of host adaptation mechanisms by using mutator malaria parasite
Project/Area Number |
18K07095
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
平井 誠 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50326849)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ネズミマラリア原虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトに感染するマラリアは、病原体であるマラリア原虫をハマダラカ属の蚊が媒介することでおこる感染症である。マラリア原虫とハマダラカは進化の過程で寄生体・宿主という関係を構築したが、これを決定している分子基盤はまったく不明である。本研究は、通常の約80倍の進化速度をもつネズミマラリア原虫(ミューテーター)を駆使し、これを非好適宿主蚊(ハマダラカ属以外の蚊)に繰り返し感染させることで、非宿主蚊への感染能を獲得したマラリア原虫変異体を単離する。単離した変異体の全ゲノム変異解析およびトランスクリプトーム解析を行ない、宿主適応度を規定するマラリア原虫側因子を同定する。一方、ミューテーター感染を許容した非好適宿主蚊のトランスクリプトーム解析を行なうことで、非寄生体を許容し得る宿主側因子を同定する。この研究により寄生体・宿主成立の分子基盤を明らかにし、これの破綻を狙った「蚊によるマラリア伝播阻止法の開発」を目指すものである。 本研究では、蚊の体内での適応度を調べる前段階として、まず、脊椎動物(マウス)での適応度を規定する遺伝的因子、特に薬剤選択圧下での適応度を規定する遺伝的因子の特定を試みた。その結果、新規薬剤耐性付与突然変異遺伝子変異を同定し、さらに興味深いことに、耐性の安定化にかかわる新規遺伝子変異(耐性安定化遺伝子変異)の特定に成功した。野生型原虫に薬剤耐性付与遺伝子変異を挿入すると弱い耐性を示すが、さらに耐性安定化遺伝子変異を導入することで、耐性度が上昇した。一方、野生型に耐性安定化遺伝子変異のみを導入した場合は、耐性は見られなかった。以上のことから、耐性安定化遺伝子変異が耐性付与遺伝子変異に作用することで、耐性の上昇と安定化に関与するものと結論づけた。
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