2018 Fiscal Year Research-status Report
The significance of a DRP hetero-oligomer in the fission of Entamoeba mitosomes.
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18K07096
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
牧内 貴志 東海大学, 医学部, 講師 (80587709)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 寄生虫 / 赤痢アメーバ / 原虫 / ミトコンドリア / ミトコンドリア関連オルガネラ / マイトソーム / ダイナミン関連タンパク質 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイトソームは、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)の生存と感染能獲得に重要な特殊化したミトコンドリアである。近年、申請者らは「ヒトのミトコンドリアではdynamin-related GTPase protein(DRP)であるDrp1のホモ複合体が実行する膜の切断を、E. histolyticaマイトソームではEhDrpAおよびEhDrpBによって構成されたヘテロ複合体が実行する」というオルガネラの分裂メカニズムにおいても特殊化を見いだした。本研究では、この「1種類で可能なはずの作業をわざわざ2種類で行う」という一見では非合理的に思えるシステムの成立要因の解明を目指す。 平成30年度は、仮説「マイトソームサイズへの適応」の検証実験を主に取り組んだ。調整した組換えEhDrpAおよびEhDrpB(rEhDrpAおよびrEhDrpB)がin vitro複合体形成実験に用いることができる質を備えているかを確認するため、まず両組換えタンパク質からGTPase活性を確認した。次にin vitro複合体形成実験では、rEhDrpBにおいてネガティブ染色の透過型電子顕微鏡観察で螺旋構造状の複合体を確認した。その外径は約31nm(n = 153)であり、マイトソームの外径(約145nm, n = 43)や分裂前の収縮部位の外径(約73nm, n = 23)に比べて小さい値であることが明らかとなった。この結果は、EhDrpBのホモ複合体がマイトソームのサイズに適していない可能性を示唆している。また、「ステージ転換時のマイトソームの分裂制御」の検証実験で必要となるEntamoeba invadensマイトソームの染色に利用可能な抗体の選定を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度中に完了する予定であった抗E. invadens DRP抗体の調整が難航しているため。難航している最大の要因は、相同性の高い3種のE. invadens DRPを個別に認識する抗体が必要なことが挙げられる。またin vitro複合体形成実験において、rEhDrpAホモ複合体およびrEhDrpA・rEhDrpAヘテロ複合体の観察に成功しおらず、rEhDrpBホモ複合体やマイトソームの外径および収縮部位のサイズとの比較が未達成であるため。E. histolyticaマイトソームの分裂収縮部位の測定に関しては、目標数は100検体であるが、現状23検体であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、平成30年度に未達成となってしまった抗E. invadens DRP抗体の調整を最優先に行う予定である。そして、当初の予定通りE. invadensを用いたステージ転換時のマイトソームの分裂とDRPヘテロ複合体との関連を検証する予定である。マイトソームの分裂収縮部位の観察に関しては、組換えEhDRPに対して阻害活性を持つ薬剤が確認できたので、それを用いて分裂収縮部位の効率的な観察条件の検討を試みる。in vitro複合体形成実験に関しては、引続きrEhDrpAのホモ複合体形成の条件を検討しつつ、EhDRPが結合するリン脂質の探索およびそれを含むリポソームの調整を行い、リポソーム上での複合体形成およびその観察をネガティブ染色の透過型電子顕微鏡で試みる。
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Causes of Carryover |
平成30年度に予定していた免疫電子顕微鏡法による解析の外注費用が発生しなかったため。平成30年度の繰越金に関しては、免疫電子顕微鏡法による解析の外注費用に使用する予定である。平成31年度分に関しては、申請時の内容で使用する予定である。
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Research Products
(7 results)