2018 Fiscal Year Research-status Report
新興回帰熱病原体Borrelia miyamotoiの血清耐性因子の機能解析
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18K07132
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
川端 寛樹 国立感染症研究所, 細菌第一部, 室長 (60280765)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 新興回帰熱 / 血清耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
新興回帰熱病原体Borrelia miyamotoiの血清耐性機序解明を目的とする研究を開始した.血清感受性でかつ形質転換が可能なライム病ボレリアB. garinii株を親株として構築したB. miyamotoi由来膜抗原遺伝子ライブラリーから,単独で血清耐性の表現型を親株に付与したB. miyamotoi由来で機能未知の4遺伝子のうち,もっとも低感受性を付与した遺伝子(T-027)に関して.その機能解析を行った. 血清耐性関連遺伝子と同定されたT-027遺伝子は、ボレリアに広く見出されるP35 遺伝子群の一つである。遺伝子産物であるT-027抗原は外膜抗原であることが確認された。主なP35抗原は感染宿主体内で発現が増強され、宿主因子(Fibronectinなど)との結合性が示される等、病原因子として重要な機能を有することが知られている。一方で、ボレリアの血清耐性への関与はこれまで報告がなく、本研究ではじめて血清耐性への関与が明らかとなった。またボレリアの血清耐性機構として、C1-inhibitor、Factor H、C4bなど補体系を負に制御する因子を利用した補体系からの回避が報告されているが、本研究では、T-027抗原は前記のボレリア血清耐性メカニズムとは異なり、補体経路の最終過程であるMembrane Attack Complex(MAC)の形成を阻害するクラスタリン分子との結合により、親株であるB. gariniiに血清耐性の形質を付与したと考えられた。クラスタリンを介したMAC形成阻害による血清耐性メカニズムはボレリアではこれまで知られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ボレリアのヒト血清に対する低感受性は、ヒト補体系に対する負の制御系を介したメカニズムであると考えられた。特にBorrelia miyamotoiの機能未知の遺伝子(T-027)は、ヒト血清中のクラスタリン分子と結合し、補体系の負の制御を行っていることを示唆する結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
Borrelia miyamotoiの血清耐性関連因子であるT-027抗原のクラスタリンを介した結合性と血清低感受性について、その詳細なメカニズムを明らかにする。クラスタリンを介した血清耐性メカニズムは、ボレリアではこれまで報告がない。このため、まずはクラスタリンとの結合性を担うT-027の結合ドメインの同定などを生化学的手法で解析していく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)年度末納品等にかかる支払いが平成31年4月1日以降となったため,当該支出分については令和元年度の実支出額に計上予定。平成30年度分についてはほぼ使用済である。 (使用計画)当初の計画に沿って実施予定である。
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