2018 Fiscal Year Research-status Report
高病原性レンサ球菌SDSE固有の病原性獲得メカニズム
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18K07133
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小倉 康平 金沢大学, 新学術創成研究機構, 助教 (00586612)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | SDSE / G群レンサ球菌 / C群レンサ球菌 / 高齢者感染 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
高い溶血性を示すレンサ球菌Streptococcus dysgalactiae subsp. equisimilis (SDSE) は、近年になり感染症例数が増加しており、発症後死亡あるいは予後不良の場合が多い。SDSE感染症は、糖尿病等の基礎疾患保持患者ならびに高齢者に多い。本研究は、SDSE固有の病原性発揮機構を明らかにすることを目的とし、SDSE新規病原因子の同定、同新規病原因子の作用機序の決定、その際の宿主応答機構を明らかにする。 本年度は糖尿病下でのSDSEの病原性発揮機構について解析した。菌体は、マウス致死性が所有菌株中で最も高い株(SDSE-167)を用いた。宿主側は、主にII型糖尿病肥満マウスを使用した。II型糖尿病マウスは、コントロールのマウスと比較してSDSE-167への感受性が高く、感染時にはサイトカイン・ケモカインの大幅な産生が誘導されていた。また、SDSEを感染させたマウス体内では、急激な血糖値の上昇や下降が観察された。SDSE-167感染マウスの肝臓組織についてマイクロアレイ解析したところ、db/+ ならびにdb/dbマウス両方で優位に発現が変化した遺伝子、およびdb/db特異的に変化する遺伝子が示され、SDSE固有の病原性に関与する因子の候補と考えられた。本研究で明らかにしたSDSE-167の糖尿病モデルマウスに対する病原性発揮機構は、SDSE感染症メカニズムがGAS感染症のものと異なることを示唆した。今回得られた知見が、SDSE-167のみではなく他のSDSE株においても共通するものであるかについては、さらなる研究が必要とされる。以上の解析を国際誌へ投稿し、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、糖尿病モデルマウスへのSDSE感染について、得られた知見を国際誌へ投稿し受理された。また、近年単離されたSDSEについてゲノム解析を行い、得られた知見を国際誌に投稿した。また菌株の譲渡や研究内容の情報交換について、近隣の大学・病院との協力体制を構築することができた。以上のことから、研究は当初の計画以上に進展していると考えれられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、SDSE新規病原因子を同定を目的として、比較ゲノム解析に基づいた機能未知のORF探索および選定を進めていく。候補遺伝子の変異株を作製し、 候補遺伝子の変異による病原性変化について細胞を用いて解析する予定であり、そのための準備は完了している。また近隣の共同研究者から譲渡された新たなSDSEに関してのゲノム解析・病原性解析を進める。
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Research Products
(3 results)