2020 Fiscal Year Annual Research Report
How beta-hemolyitc streptocci SDSE exhibits pathogenicity
Project/Area Number |
18K07133
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小倉 康平 金沢大学, 新学術創成研究機構, 助教 (00586612)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レンサ球菌 / 細菌感染 / SDSE |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者に高い病原性を示すレンサ球菌Streptococcus dysgalactiae subsp. equisimilis (SDSE) について、本菌固有の病原因子を解析した。 今年度の研究から、SDSEがヒアルロン酸を分解することで病原性を発揮することを明らかにした。SDSEは他のレンサ球菌と比較して顕著に高いヒアルロン酸分解能を有していた。またヒアルロン酸を唯一の炭素源とした培地中で、SDSEは迅速に増殖した。SDSEは一部のレンサ球菌が保持しているヒアルロン酸分解酵素をコードする遺伝子hysAのホモログ遺伝子がSDSEゲノム中にも保存されており、この遺伝子を欠失させた変異株はヒアルロン酸を資化できないことから、本ホモログ酵素がSDSEの増殖に関与することが見出された。また本遺伝子欠損株は、マウスへの感染時にヒアルロン酸資化関連遺伝子の発動を誘導できないことや、マウスへの致死誘導性が顕著に減少することが明らかになった。SDSEは主に皮膚に常在することが考えられるが、皮膚に多く存在するヒアルロン酸を迅速に資化することで、SDSEは増殖し病原性を発揮することが明らかになった。 次に、これまでに分離頻度が稀とされてきた種のSDSE(A群SDSE)について、完全ゲノムを決定し、A群SDSEに固有の遺伝子領域を明らかにした。A群SDSEは、G群SDSE存在下で培養した際に増殖率が著しく低下していたが、G群SDSEはA群SDSE存在下でも増殖能を維持していた。以上のことから、A群SDSEの分離頻度が稀な要因として、他のSDSEによる影響が示唆された。 SDSE固有の病原性発揮機構について以上の通り知見を得た。本研究は、当初の予想以上の成果を上げられたと、申請者は自負している。
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Research Products
(9 results)