2019 Fiscal Year Research-status Report
Mechanistic analysis of persistent infection of HCV in non-hepatic cells
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18K07146
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小野 慎子 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (30626437)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | HCV / マイクロRNA / 肝外病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
C型肝炎ウイルス(HCV)の主要標的臓器は肝臓であるが、肝臓以外の組織にも病変を引き起こすことが臨床的に報告されている。また最近我々は、HCVの増殖に必須な肝臓特異的なマイクロRNAであるmiR-122が発現していない非肝臓細胞においても、HCVは低レベルながら複製可能であり、その過程で5’非翻訳領域(5’UTR)に適応変異が導入され、miR-122非依存性を獲得することをin vitroの実験で明らかにした。さらに、患者サンプルの非肝臓細胞からも同様の変異型ウイルスゲノムが有意に検出されたことから、非肝臓細胞がHCVゲノムのリザーバーとなる可能性を提示した。そこで本研究では、非肝臓細胞でのHCVの持続感染に関わる宿主因子や変異ウイルスの出現メカニズムを検討し、肝外病変の発症やウイルス排除後の再燃を制御する有効な治療法の開発に繋げることを目的とした。 現在考えられているHCVの感染環におけるmiR-122の役割は、その結合によりHCVのIRES 構造を翻訳開始複合体が形成しやすくなる活性型へと変化させることであると報告されている。そこで本年度は、昨年度までに同定したmiR-122型、non-miR-122型の結合様式でHCV-RNA複製を亢進しうるマイクロRNAの機能についてより詳細なメカニズムを明らかにするために、Ago2/miRNA/HCV-RNA複合体の3Dモデリングとシミュレーションを共同研究により行った。すると、今回得られた様々なmiRNA がHCV-RNAの5’UTRと相互作用することで活性型IRES構造の二次構造のみならず三次構造の安定性を高めており、それが翻訳・複製亢進に重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
以下の2点において大きな進展があったため。 ・Ago2/miRNA/HCV-RNA複合体形成と翻訳・複製亢進メカニズムについて 本研究により同定したmiR-122以外でHCV-RNA複製亢進能のあるマイクロRNAが、どのようにAgo2を介してHCV-RNAの5’UTRと相互作用しているのかをRNAの三次元構造およびRNA-タンパク質相互作用のモデリングを専門とする国内および海外の研究者との共同研究により調べた。その結果、翻訳・複製亢進能を持つmiRNAはHCV-RNAが正しくIRES構造を取るのに必須なステムループIIの二次構造形成を促すのみならず、IRESが40Sリボゾームと相互作用するのに重要な、ステムループIIIで構成されるbody領域の立体的な安定性にも関与していることが明らかとなった。 ・論文の投稿 本年度までに得られた成績をまとめPLOS Pathogens誌に論文投稿し、3月31日の時点でrevise中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において、肝臓特異的なmiR-122の機能を代替しうる他のマイクロRNAの働きにより、非肝臓細胞内でもHCV-RNAの持続的な複製が可能であることが証明された。しかしmiR-122と比べ発現量および翻訳・複製亢進能は格段に劣るため、そのような環境下では持続感染の間にmiR-122非依存的な複製が可能になる適応変異G28Aがウイルスゲノムに導入される。しかしこの変異はmiR-122存在下では導入されないため、ウイルス感染環におけるG28A変異のメリットとデメリットについて今後解析を行う。
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Research Products
(4 results)