2019 Fiscal Year Research-status Report
新規な遺伝子操作系を用いたロタウイルス増殖および病原性発現の機構の解明
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18K07150
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
河本 聡志 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (60367711)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ロタウイルス / リバースジェネティクス / 11-プラスミドシステム / リアソータント |
Outline of Annual Research Achievements |
任意のロタウイルスを人工合成することは、ウイルス増殖や病原性発現の機構といった基礎研究のみならず、次世代ワクチンや腸管指向性ベクター開発などの臨床応用につながる。私たちはごく最近、簡便かつ高効率に、増殖能が高い動物(サル)ロタウイルスを人工合成する技術に引き続き、増殖能がきわめて低いヒトロタウイルスを人工合成する技術の開発にも成功している(11-プラスミドシステム)。 サルSA11-L2株をバックボーンとして、ヒトKU株の遺伝子分節を有する、モノリアソータントパネルの作成を試みた。11-プラスミドシステムを駆使することで、11種類のSA11-L2×KUモノリアソータントを人工合成することができた。さらに、SA11-L2株をバックボーンとして、KU株のVP1-VP3遺伝子分節を有する、トリプルリアソータントも本技術を用いることで作成に成功した。こうして、11-プラスミドシステムを用いて、ロタウイルスリアソータントを任意に設計し得ることが示された。 現行の2種の弱毒生ヒトロタウイルスワクチンは、最も重要な感染防御抗原であるVP7の血清型G1~G4をカバーしているが、一方で、新興型であるG9とG12の分布が世界的に拡大している。そこで、11-プラスミドシステムを用いて、G1~G4、G9、G12を発現するVP7リアソータントパネルの作成を試みた。これら6種類のVP7リアソータントいずれも効率良く作成することができ、ヒトでは未知となる血清型を有する、新型ロタウイルスが出現した際にも、11-プラスミドシステムは、即応可能な次世代ワクチン開発の基盤となる技術となることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リバースジェネティクス系が簡便化かつ高効率化され、組換えロタウイルスを任意に設計できるようになった。さらに、11-プラスミドシステムはロタウイルス遺伝子のみから感染性ロタウイルスを人工合成できるので、臨床研究への応用が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
独自の11-プラスミドシステムを駆使して、ロタウイルス増殖機序の解析を進めるとともに、外来遺伝子を発現する腸管指向性ロタウイルスベクター開発についても研究を展開する。
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Causes of Carryover |
次年度も研究補助員1名の雇用が必要のため、計画的に次年度使用額として残しました。次年度において、この目的に使用する予定です。
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Research Products
(3 results)