2020 Fiscal Year Research-status Report
AI-supported studies of RNA viruses
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18K07151
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
和田 健之介 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (90231026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池村 淑道 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 客員教授 (50025475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | COVID-19 / SARS-CoV-2 / AI / oligonucleotide / RNA virus / host adaptation / big data / evolution |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年12月より、新型コロナウイルスの世界的流行がはじまったが、このウィルスは本研究課題の高速に進化するRNAウイルスである。計画調書において、新規RNAウイルスが世界的流行を開始した場合には それらの解析を行うことを記載していたので、この方針に従って、新型コロナウィルスのオリゴヌクレオチド組成に着目したAIならびに時系列解析を行った。COVID-19の社会的な重要性から、既に100万を超えるゲノム配列が公開されているが、AIならびに時系列解析は、これらのビッグデータ解析に適している。以前からの我々の研究結果と一致して、このRNA ウイルスにおいても、オリゴヌクレオ組成の方向性を持った時系列変化が見られ、コウモリで流行しているコロナウィルスのオリゴヌクレオ組成から、ヒトで流行している風邪コロナウイルスの組成へと近づく方向性を示しており、この視点からは、近未来予測が可能なことが判明した。 方向性のある変化の分子機構としては、APOBECによるRNA editingの効果が示唆されている。15-mer以上の長いオリゴヌクレオチドになると 新型コロナウイルスゲノム上で大半が1コピーしか存在しない。流行開始後に出現した15-merに着目することで、新規に入った変異との関係付けが可能になる。集団内頻度を急拡大した変異に関係する15-merに着目して、AI(BLSOM) 解析を行ったところ、教師無しのAIでありながら グレード(clade)別の明瞭な分離(自己組織化)が起きていた。既知のクレード内、特にGRに関しては明瞭な内部分岐が起きており、少なくとも7種類のサブグループを観察した。説明可能型のAIであり、それらの内部分岐に関与する変異も特定できている。これらの研究結果は、すでに査読付きの2報と、preprintの2報で発表し、総説も投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年12月より、新型コロナウイルスの世界的流行が開始したが、このウィルスは本研究課題の高速に進化するRNAウイルスである。 計画調書において、新規感染症RNAウイルスが登場した場合は、その解析を行う計画を記載していたが、正にこの方針に従った大規模解析が可能になった。 COVID-19の社会的重要性から、継続的に大量なゲノム配列が解読され迅速に公開されている。高速に進化するRNAウイルスにおいては、月単位での方向性のある変化が検知できるので、ある時点で近未来予測をした結果を、1~2か月後には検証が可能であった。進化の研究でありながら、予測と検証のサイクルが可能になっており、新規性の高い進化研究が可能になったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の新型コロナウイルスの大流行は、自然宿主のコウモリで生育していたウイルスが、中間宿主を経てヒトへと感染したと考えられている。ヒト集団内での頻度が急拡大したウイルス変異に着目した場合、ヒト細胞内での増殖やヒト-ヒト感染に有利な変異と、この変異に相乗りしているヒッチハイカー的な中立変異とが想定され、それらを区別することが重要な研究課題と言える。この区別には多面的な解析が必要であり、ウィルスゲノムに見られる方向性のある変化を生む分子機構を知ることが特に重要となる。APOBECによるRNA editingが重要なことは、我々を含む複数の研究グループの研究結果により支持されているが、それ以外の要因については不明な点が多い。1~2連塩基の組成の解析では変異や修復機構について、4~10連塩基ではタンパク質との相互作用について、15~20連塩基では宿主miRNA等のRNAとの相互作用についての情報が得られる。自然宿主や中間宿主やヒトゲノム側のオリゴヌクレオ組成と、ウイルスの組成がどのような関係になっているのかを知ることは、重要な手掛かりとなると考えられ、この解析を進めている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの大流行に伴い、当該研究課題での研究を続行しており、投稿中の論文も3報ある。 それらの出版に係る費用については、4月以降の支払いになるため、それらは次年度の使用として必要である。なお、これらの投稿中の論文についても、追加の解析が求められる可能性もあり、そのための経費も次年度使用となる。
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