2019 Fiscal Year Research-status Report
Role of tumor microenvironment in the chronic infection HTLV-1 and the ATL development
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18K07152
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
藤澤 順一 関西医科大学, 医学部, 教授 (40181341)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | HTLV-1 / ヒト化マウス / 細胞障害性T細胞 / CADM1 / T-bet / Ki67 / Granzyme B |
Outline of Annual Research Achievements |
HTLV-1感染ヒト化マウスでは、末梢血CD4 T細胞が百倍以上に腫瘍性増殖するが、CD8T細胞も同等な倍率で増殖することから、CD8 T細胞の抗腫瘍活性に注目して解析した。 全てのHTLV-1感染細胞において発現することが報告されている接着関連因子CADM1の陽性率を、HTLV-1感染前後のヒト化マウスで比較したところ、CD4 T細胞では、感染3週で3.2%から51%に、CD8 T細胞では3.1%から21%に上昇した。さらに、プロウイルス解析の結果、CADM1陰性T細胞での感染はほとんど無いのに対し、CADM1陽性T細胞のほぼ全体がHTLV-1に感染していることが確認された。 そこで、細胞増殖性の指標となるKi67の発現を解析したところ、CD4T細胞ではCADM1陽性細胞が50%、CD8T細胞ではCADM1陰性細胞が63%の陽性率を示し、HTLV-1感染ヒト化マウスにおいては、感染CD4T細胞と免疫応答性の非感染CD8T細胞の高い増殖性が示された。 次に、Th1型T細胞の指標となる転写因子T-betの発現率を解析したところ、CD4 T細胞においては、感染前後で5.5%から56%に、CD8 T細胞においても、18%から32%に上昇し、感染CD4T細胞のほぼ全てがTh1細胞であり、また、感染に応答して増加したCD8T細胞の約 1/3が細胞障害性T細胞の形質を持つことが示された。同様に、細胞障害性を担うGranzyme Bの陽性率も、CD4 T細胞で0.4%から22.9%に、CD8 T細胞でも12.3%から50%に上昇した。 以上の結果より、HTLV-1感染ヒト化マウスにおいては、細胞障害性T細胞の分化・増殖は大量に行われているにもかかわらず、感染細胞非特異的なT細胞の増殖により感染細胞特異的宿主免疫の発現が抑制されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで用いてきたHTLV-1感染ヒト化マウスの系においては、感染2ヶ月以内に多くの感染個体が白血病死し、宿主免疫による抑制機能を上回る感染細胞の急激な腫瘍増殖性により、ワクチン・薬剤等の投与効果の判定が困難であったことから、HTLV-1感染がより緩徐に進行する感染系の開発が必要となった。 ウイルスの産生能が低い感染細胞の開発を進めてきたが、昨年度、目的に合致する細胞株の作成に成功したため、今後、同細胞を用いてワクチンおよび薬剤の投与実験を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析から、HTLV-1感染ヒト化マウスの系において、発癌関連遺伝子のひとつHBZの発現は恒常的に発現するにもかかわらず、Taxの発現は感染初期には観察されるが経時的に急激に減少することがわかっている。また、TaxはTh1型の遺伝子群を活性化するのに対し、HBZは抑制的に働くことが明らかになっていることから、感染後期においてはHTLV-1感染T細胞のTh2型あるいはTreg型への転換が予想されるため、長期感染系の解析が重要となる。現在、ヒト化マウスの作成が順調に進んでいることから、ウイルス産生量が低い感染細胞株を感染時に用いることで、長期感染系を確立し、細胞レベルおよび組織レベルでの解析をワクチンおよび各種薬剤の投与と並行しておこなう。
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Causes of Carryover |
物品費等の価格に計画した価格と若干の誤差が生じたため。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] The Nature of the HTLV-1 Provirus in Naturally Infected Individuals Analyzed by the Viral DNA-Capture-Seq Approach2019
Author(s)
Katsuya H, Islam S, Tan, Ito J, Miyazato P, Matsuo, Inada Y, Iwase, Uchiyama Yoshikazu、Hata Hiroyuki、Sato T, Yagishita N, Araya N, Ueno T, Nosaka K, Tokunaga M, Yamagishi M, Watanabe T, Uchimaru K, Fujisawa J-i, Utsunomiya A, Yamano Y, Satou Y
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 29
Pages: 724~735.e4
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Identification and Molecular Characterization of a New HTLV-1 Enhancer2019
Author(s)
M. Matsuo, T. Ueno, P. Miyazato, H. Katsuya, S. Islam, B.J. Tan, S. Iwase, M. Tokunaga, K. Nosaka, A. Utsunomya, J. Fujisawa, Y. Satou
Organizer
19th International Conference on Human Retrovirology
Int'l Joint Research
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[Presentation] HTLV-1ウィルスエンハンサーはウィルス遺伝子および宿主遺伝子発現の亢進を誘導する2019
Author(s)
松尾美沙希, 上野孝治, 宮里パオラ, 勝屋弘雄, タン ベンジー, ジャック ヤン, イスラム サイフル, 徳永雅仁, 野坂生郷, 宇都宮與, 藤澤順一, 佐藤賢文
Organizer
第6回日本HTLV-1学会学術集会