2018 Fiscal Year Annual Research Report
HCV特異的な細胞性免疫の抑制を解除するC型肝炎治療ワクチンの作用機序解明
Project/Area Number |
18K07159
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
大槻 貴博 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (10593642)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 治療ワクチン / HCV |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでにC型肝炎の病態を示すHCVトランスジェニックマウスへのHCV構造蛋白質CN2または非構造蛋白質N25を発現するDNAワクチンまたは組換えワクチニアワクチン(rVV)とのDNA/rVV heterologous prime-boost接種により、炎症性サイトカイン産生M2マクロファージ減少による肝臓病態正常化と、HCV抗原に起因する細胞性免疫抑制を解除し再賦活化することで非細胞傷害性にウイルス抗原を排除できることを明らかにした。しかし、ワクチン接種により細胞性免疫抑制解除に関与する既知および未知の免疫細胞集団は不明である。そこでワクチン接種後の肝臓内白血球(IHL)中を免疫細胞集団の動態を包括的1細胞解析(Nx1-seq法)する事で、宿主内でどのような変化が起きたかを解析した。コントロール群と比べてワクチン接種群に優位な差は認められなかったが、N25-DNA/rVV-CN2群では血清中のALTが正常値レベル近くまで減少した。N25-DNA primingしたN25-DNA/rVV-CN2群、N25-DNA/rVV-N25群では肝臓中炎症性サイトカイン(IL-1b, IL-6)が抑制されておりM-CSFも減少していたことから、肝臓内への単球遊走、マクロファージの分化、増殖が阻害されることで、炎症細胞浸潤抑制とT細胞活性化抑制が示唆された。N25-DNA/rVV-CN2群でのみRANTES、MIP-1aが減少していることから、肝臓内へのT細胞、マクロファージ、好中球遊走が抑制され、肝臓の病態正常化が示唆された。実際にHE染色により肝臓の病理解析を行ったところ、肝臓中サイトカインおよび血清中ALTの定量結果と概ね相関していた。現在Nx1-seq解析を進めている。得られたデータから免疫細胞毎に有意に増減した遺伝子を選別し、細胞性免疫の抑制解除に関与する因子を同定する。
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