2018 Fiscal Year Research-status Report
炎症誘導型樹状細胞系サブセットがB細胞の生存を増強する機構の解明
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18K07169
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福井 竜太郎 東京大学, 医科学研究所, 助教 (60554508)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 炎症誘導性単球 / B細胞 / 炎症 / 自己免疫疾患 / サイトカイン / Toll-like receptor |
Outline of Annual Research Achievements |
Toll-like receptor 7 (TLR7)はウイルスなどの核酸を認識して免疫応答を惹起する一方で、宿主由来の核酸をも認識し、自己免疫疾患などを誘導すると考えられている。我々が樹立したUnc93 homolog B1 (Unc93B1)にD34A変異を持つマウスは(D34Aマウス)、TLR7の応答が亢進することで自己免疫性肝炎などの表現型が誘導される。D34Aマウスの細胞を詳細に検討した結果、野生型マウスでは見られない細胞表面マーカーを持つ特殊な単球系細胞サブセットが認められた。このサブセットは炎症によって誘導される単球系細胞であると仮定し、以下inducible MC (iMC)と呼ぶ。iMCの主な特徴は、(1)定常状態においても炎症性サイトカインの産生が見られること、(2)B細胞との共培養によってB細胞の生存を増強すること、の2点である。このことから、自己抗体の産生などB細胞の活性化を伴う自己免疫疾患において、iMCが何らかの寄与をしている可能性が考えられた。 本研究ではiMCが誘導される条件を検討するため、数種類の自己免疫疾患モデルマウスから細胞を採取し、iMCの有無を調べた。その結果、D34Aマウス以外にも特定の全身性エリテマトーデス (SLE) モデルマウスなどでiMCの誘導が認められたことから、iMCの誘導に関わる慢性炎症は広範に渡ると考えられる。また、これらのマウスにおいてTLR7の応答を阻害するとiMCの誘導が見られなくなたっため、iMCはTLR7依存的に誘導されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物飼育室における問題により、マウスを用いた実験を停止せざるを得ない状況になった。現在は問題が解決し、実験を再開することが可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)iMCと他の単球系細胞をRNA-seqによって比較し、iMCの系列や性質の決定を行う。 (2)トランスウェルなどの実験系を用いて、iMCによるB細胞の生存増強には細胞同士のコンタクトが必要か、もしくは液性因子によって生存シグナルの増強が行われているのかを明らかにする。 (3)上記「(1)および(2)」によって得られたデータから、iMCの誘導に関わる因子を予測し、そのノックアウトマウスにおいてiMCが誘導されるかを検討する。 (4)同様に、iMCによるB細胞の生存増強に関わる因子を予測し、候補分子のノックアウトマウスから細胞を採材して検討を行う (5)老齢マウスなど、炎症性疾患モデルマウス以外においてもiMCが誘導されるかを検証する。
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Causes of Carryover |
動物飼育室における問題(感染)により、実験の停止を余儀なくされた。RNA-seqなどの実験を翌年度に行う。
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