2019 Fiscal Year Research-status Report
自然リンパ球および上皮内リンパ球の分化と機能の制御機構
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18K07170
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
瀧 伸介 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (50262027)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自然リンパ球 / ホメオスタシス / 粘膜免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管のILCのホメオスタシスの制御機構の検討を行っている。腸管ILC2は野生型背景マウスよりもRAG1欠損背景マウスで、すなわち獲得免疫細胞の不在下でpopulationサイズ(臓器当たりの細胞数)が大きくなっている。獲得免疫細胞(B細胞とT細胞)がどのようにILC2のhomeostasisに関わっているのかを検討する為に、昨年度、parabiosisによってRAG1欠損マウスと野生型マウスの血流を共有させ、野生型マウスから流入した獲得免疫細胞がILC2の数を減少させることを見いだしたが、同parabiosisマウスにおいてKi67による染色を行ったところ、WTマウスとのparabiotic RAKOマウス腸管では、ILC2およびNKp46+ILC3のKi67陽性率が、RAGKO-RAGKOparabioticマウスに比べて低下していること、すなわち野生型マウスから流入した獲得免疫細胞が、局所のILC2、3の増殖を低下させることが分かった。ひき続き、野生型マウスよりT細胞をpurifyし、transferすることによって、腸管ILCのpopulationに影響があるかどうかを検討した。その結果、RAGKOマウスにCD4+T細胞をtransferした場合、B細胞をtransferした場合に比べて、ILC2およびNKp46+ILC3サブセットで細胞数が減少する事を見いだした。Annexin-Vによる染色率は変化していなかったため、その減少は、細胞死によるものではないと考えられた。加えて後者ではKi67陽性率も低下していた。ところが、ILC2ではCD4+T細胞のtransferによって細胞数は減少するものの、Ki67陽性率は変化せず、parabiosisにおける結果と一致しなかったため、さらに詳細な検討を加える予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Parabiosisによる解析に引き続き、細胞移入の実験系も順調に立ち上がり、解析が順調に進行した。最終年度に向けて、さらに研究を加速する予定である。さらに胸腺におけるIEL前駆細胞の解析についても、それぞれ野生型、IRF-2欠損マウスよりソーティングし、RNAシークエンス解析を終了しており、データの解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
より詳細にILCサブセットのホメオスタシスと、それに対するCD4+T細胞の影響を検討する為に、マウスの個体発生時におけるILC分化、増殖を検討し、また各種遺伝子欠損マウスにおいて同様の解析を行うことによって、いかなる細胞外シグナルがILCのホメオスタシスに影響を与えているのかの検討を開始している。また、IEL分化に対するIRF-2の影響についてもRNAシークエンスデータの解析を開始しており、それらの結果を待って、まとめ作業に入る予定である。
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Causes of Carryover |
おおよそ当初計画で見込んだ通りに研究が進んだが、動物実験などに関わる費用の変動のため、わずかながら次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和2年度請求額と合わせて、消耗品費として使用する予定である。
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